2分でわかるアメリカ

2016/12/21ニセ情報でかく乱

先月のアメリカ大統領選の一般投票の結果を受け、全米50州と首都ワシントンDCで19日、合わせて538人の選挙人が投票しました。共和党のドナルド・トランプ氏が、当選に必要な270票を超える306票を確保したもようです。一部で予想された反乱は起きませんでした。

選挙人の投票結果は年明け1月6日に連邦議会で集計され、結果が確定します。形式的なものですが、これにより、トランプ氏がアメリカの第45代大統領に正式に選ばれます。就任式は1月20日です。

今年のアメリカ大統領選は異例の展開となりました。ライバルに打撃を与える情報、噂が大きく影響。特に、偽物のニュース(偽ニュース)がかく乱要因となりました。

偽ニュースには歴史があります。

ポリティコによりますと、1475年のイタリアで、ユダヤ人が2歳半の子供を殺害、その血を飲んだという残虐なニュースが急速に広がりました。日本では、豊臣家が滅亡した1615年の大阪夏の陣で、徳川陣営が「相手側の武将が寝返った」というニセ情報を流し、かく乱しました。1800年代と1900年代のアメリカでは、ニセ情報が一般的でした。その多くに政治的な背景があります。

昔の新聞記者は「エンターテイナー」もしくは「策士」でした。しかし、ジャーナリズムが主流になったいま、ニセ情報が話題になることはほとんどありませんでした。今年までは。

「クリントン氏のメール問題を調べていたFBI捜査官が殺害された」「ローマ法王が7月にトランプ氏を支持した」。今年広がったニセ情報の一部です。フェイスブックやツイッターで一瞬にして世界に拡散しました。ソーシャルメディアの普及が拡散度を高め、影響力もその分大きくなりました。大統領選が予断を許さないほど接戦になったこともニセ情報が拡散した背景だと思います。

大統領選が終わりましたが、予期せぬ発言、暴言で知られる異色の大統領が就任するため、新年もアメリカ発のニセ情報が拡散することがあるかもしれません。気をつけます。
 
[December 20, 2016]  No 031843559

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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