2分でわかるアメリカ

2010/10/15信じられない実体!米経済に新たな暗雲


アメリカの住宅バブルがはじけサブプライム・ローン問題が表面化した2007年以降、想像を超える件数の住宅が銀行に差し押さえられました。しかし、その処理に不適切な点が多くあったことが発覚、全米で大問題に発展しています。

発端は、住宅を差し押さえられた元オーナーからの苦情が地方自治体などに相次いだため、司法当局が調査したところ、法的に問題があることがわかったからです。司法当局から指摘を受けた大手銀行のバンク・オブ・アメリカは、実体を調査するため差し押さえ作業を停止、他の大手銀行も同様の措置をとる構えです。

不適切な処理とは一体何か。具体的には、書類審査をせず、次々と差し押さえを進めていったことです。ローンの支払いが滞る住宅が全米で最も多い州のひとつであるフロリダでは、金融機関が美容師やスーパーの店員や学生をバイトとして雇い、届けられる書類に署名させていました。署名のスピードは一件あたり30秒以下という報告もあります。自動的に処理するため「ロボ・サイナーズ」、つまり署名ロボットと呼ばれています。
差し押さえられた住宅の書類は、ちゃんとチェックしていないので、住宅のオーナーが誰なのか、銀行側に差し押さえる権利が本当にあるのか、不明なものも多くありました。フロリダ以外の州でも同様の実体が報告されています。

モルガン・スタンレーによりますと、既に競売にかけられた住宅が250万件、差し押さえられた状態または近く差し押さえられる可能性がある物件は650万件、合わせて900万件が書類の妥当性に問題があるか調査される見通しです。

全米の全ての州の司法長官は14日までに、金融機関が差し押さえた住宅の売却を勝手に進めないよう求めました。これにより、銀行の不良債権処理が大幅に遅れたり、在庫物件が増え長期間に渡って住宅価格が下落する懸念が強まっています。

14日には堅実とされていた銀行、ウェルズ・ファーゴでも「ロボ・サイナーズ問題」が表面化しました。減速している景気にも大きく影響しかねないだけに、今後の行方が注目です。

[October 14, 2010] No 010269

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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