2分でわかるアメリカ

2016/11/30通貨急落、ヤケクソで紙幣をメモ帳に

アメリカの大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利して以降、アメリカの金利が上昇、米ドルが買われました。その反動で、新興国通貨が売られました。メキシコペソやトルコリラなどが大幅に下落しました。

主要な新興国通貨ではありませんが、南米のベネズエラの通貨ボリバルが大変なことになっています。 29日現在のレートは1米ドル=9949ボリバルでした。1カ月前は1417ボリバルでしたので、価値が7分の1になった計算です。

世界的な新興国通貨の売りが影響したというより、ベネズエラの主力輸出品の原油相場の低迷、政治の混乱、米ドルの供給不足が大きく影響しています。公式レートは1米ドル=660ですが、外貨不足でほとんどの市民は民間市場を利用せざるを得ない状況です。

ベネズエラで最も高額な紙幣は100ボリバル。アメリカの通貨で約1セントの価値しかありません。Reutersは、国民は生活必需品を買う場合でも、リュックサック一杯の現金を持参しなくてはならなくなっていると伝えました。ヤケクソになってお札をメモ帳などただの紙として使う人も出てきたとしています。

ATMの前には長蛇の列ができているそうです。100ボリバル紙幣を収納するスペースが限られるため、金融機関などが3時間おきに紙幣を補充しています。政府が500ボリバル紙幣の準備をしているとの報道もありますが、混乱が収まるとは思えません。

1990年代のロシアの混乱期にモスクワにいました。1000%のインフレ率を背景に通貨ルーブルの相場が日に日に下落しました。競って米ドルを買い求める多くの市民を目の当たりにしました。ルーブル札は紙切れ同然に扱われました。今のベネズエラはそれよりひどい状況だと思います。


 [November 29, 2016]  No 031843544

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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