2分でわかるアメリカ

2016/08/30常軌逸した値上げ、マイランの強欲

アメリカでは、先週から「EpiPen(エピペン)」の話題で持ちきりです。マイラン製薬が販売する急性アレルギー注射薬のことですが、民主党の大統領候補であるヒラリー・クリントン氏が「常軌を逸している」と発言したことで注目を集めました。

何が問題になっているかと言いますと、その値段です。マイラン製薬は2007年にドイツの製薬会社から「エピペン」の権利を取得。マイラン製薬はパケージを変更、2本入りパックを値上げし200ドル(約2万400円)で売り出しました。毎年値上げされ価格は今年600ドル(約6万1200円)を超えました。ドイツの製薬会社の価格と比べ500%以上値上げしたことになります。「エピペン」に含まれる「エピネフリン」の一回あたりの投与量の価格は1ドル(約102円)とされています。

マイラン製薬のヘザー・ブレシュCEOの高額報酬も問題になりました。2007年の年収は約245万ドル(約2億4990万円)でしたが、去年は1893万ドル(約19億3086万円)でした。他の幹部の報酬も急増しました。ブレシュCEOの学歴詐称問題も浮上しました。

マイラン製薬は、価格を大幅に値引くクーポンを配り、低価格版の「エピペン」を発表するなどして対応しました。また、ブレシュCEOがメディアに積極的に出演、「医療制度が悪い」と主張しました。しかし、批判は収まる気配がありません。法律で医療費や医薬品の価格を抑制することも可能性ですが、選挙を控えた議会は機能していません。選挙後に議会が動き出しても、法律ができるまでに長い時間がかかります。


マイラン製薬の問題は、アメリカ社会が抱えている負の部分を象徴するものと言えます。オバマケアで混乱した複雑な医療制度と超高額医療、そして企業の強欲主義。犠牲になるのはいつも一般市民です。

 [August 29, 2016]  No 031843480

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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