2分でわかるアメリカ

2016/07/09Brexit、英米不動産で起こってること

世界的な金融センターであるロンドンのシティ、そして、その周辺の地区を歩くと、大規模な改築中のビル、新築中の高層ビルの多さが目を引きます。歴史的建造物が多く、何もかもが古いイメージがあったロンドンが近代都市に生まれ変わろうとしているようです。

ロンドンの建築ブームを支えていたのが不動産ファンドです。商業不動産プロジェクトに世界の投資家から集めた巨額資金を拠出してきました。Brexit(イギリスのEU離脱)を決めた国民投票を受け、その不動産ファンドが機能不全に陥りました。突然の評価減などを受け、今週だけで6つの大型ファンドが取引を停止しました。「資金の流出が止まらない」と不動産関係者が話しています。

The Wall Street Journalは、イギリスの不動産市場の本当のリスクは居住用住宅にあると解説しました。賃貸用住宅などの投資家が、不動産バブルが終わったと判断すれば、事態は面倒なことになるだろうとしています。

大西洋を挟んだアメリカにも影響が出ています。ロンドンから資金を引き揚げた外国人投資家がアメリカの不動産に目を向けました。CNBCは、イギリスの国民投票の後、外国人投資家のマネーがアメリカの不動産市場に大量に流入していると伝えました。

特に中国人。中国本土から投資向け物件に関心を寄せているとしています。ただ、高額物件ではなく、比較的安い物件を模索しています。Brexitを選択したイギリスの国民投票を受け、ポンドの急落が目立ちますが、同時に中国人民元も大幅に値を下げました。反面、質への逃避で円やスイスフランだけではなく、米ドルも高くなりました。中国人投資家の購買力が低下しました。

ニューヨーク・マンハッタンの高額物件を専門に扱うブローカーは、2000万ドル(約20億円)で決まっていた高級アパートの買い手が、イギリスの国民投票の翌日に再値引き交渉を始めたとCNBCに語っています。

米英の不動産市場で起こっている現象は、おそらく氷山の一角。Brexitが進む中、マネーの流れが変わり、多くの変化が表面化すると想像します。国際金融筋は「リーマンショックとは異なると思うが、ヨーロッパの銀行のいくつかが淘汰されるだろう」と話しています。


  [July 08, 2016]  No 031843446

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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