2分でわかるアメリカ

2016/07/08米大統領選、異例の展開

アメリカの大統領選は過去に例がない展開をみせています。正副大統領候補を正式に指名する2大政党の党大会前は盛り上がりを示すのが通常ですが、今回は違います。

共和党の大統領候補の指名獲得を確実にしているドナルド・トランプ氏は、いまだ党内をまとめられないでいます。党大会のボイコットを表明する有力党員も少なくありません。

一方の民主党の候補指名の獲得が確実視されるヒラリー・クリントン氏はメール問題で苦境に立たされています。国務長官時代に公務で私用メールを使っていた問題で、異例の事情聴取をしたFBIが刑事訴追を求めない方針を発表。リンチ司法長官が6日、FBIの判断を受け入れるとの声明を発表しました。捜査が終了、ヒラリー・クリントン氏の立件が見送られることが決定しました。しかし、問題は終わるどころか、さらに疑念を膨らます結果になりました。

連邦議会下院は7日、FBIのコミー長官を呼び、ヒラリー・クリントン氏を訴追しなかった背景を徹底的に問いただしました。ヒラリー・クリントン氏が民主党の大統領候補だから訴追しなかったのではないか、と。FBI長官がこれほど追い込まれるのは異例のこと。CNN、 MSNBC、 FOX のニュース専門チャンネルだけではなく、金融専門のCNBCまで下院の委員会を完全生中継しました。関心の高さを示しました。

メール問題をめぐり、いくつか不可解なことがあります。まず、リンチ司法長官。ヒラリー・クリントン氏がFBIの事情聴取を受ける前、夫のビル・クリントン元大統領がリンチ司法長官と面会していました。さらに、ヒラリー・クリントン氏が機密を危険にさらし、嘘をついたことが明らかなのに訴追されなかったのか。共和党主導の下院だけではなく、The Wall Street Journalなど主要メディアもFBI長官の対応に疑問を投げかける社説を掲載しています。二重基準だと。メール問題はさらに発展、長期化する可能性が高いです。

トランプ氏とクリントン氏は、いずれも過去の大統領候補と比べ「人気がない候補」、別の言い方では「最も嫌われる候補」です。多くの疑問、問題を抱え、嫌われる2人のいずれかが世界で最も有力な国の大統領になるというのも不思議な話。政治の世界は、いつの時代も不可解です。


[July 07, 2016]  No 031843445

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.05.25 更新輸入車25%関税の衝撃トランプ政権は23日、自動車の輸入が安全保障におよぼす影響について調査を開始すると発表しました。予想されていたことですが、それでも世界に衝撃を与えました。アメリ…
  • 2018.05.24 更新微妙な関係、米朝首脳会談と米中貿易協議トランプ大統領は22日、訪米した韓国の文在寅大統領とホワイトハウスで昼食をはさみ2時間にわたり会談しました。北朝鮮の体制維持などで意見を交換したもようです。会談…
  • 2018.05.23 更新「相当な確率でビットコインはゼロに」去年後半から年初にかけて世界を騒がせたビットコイン。一時は2万米ドルまで上昇するとの強気な見方がありましたが、最近では聞きません。低調な取引が続き、8000米ド…
  • 2018.05.22 更新「夜の灯」で景気判断、独裁国はGDP水増し?ワシントンポストに興味深い記事が掲載されました。中国、ロシア、その他の独裁国家がGDPを15〜30%「水増し」していることを衛星写真が強く示唆しているというもの…
  • 2018.05.19 更新米朝対話の鍵にぎる「謎の銀髪男」黄色信号が点滅した米朝首脳会談。トランプ大統領は17日、北朝鮮が対話に応じなければ最大限の圧力を維持すると警告しました。一方で、金正恩朝鮮労働党委員長が非核化に…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ