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2016/06/28EUから英語が消える?

ベルギーのブリュッセルに駐在した1990年代前半。EU本部で毎朝恒例の記者ブリーフィングのほとんどはフランス語でした。必死で、フランス語を勉強しました。アシスタントは、フランス人とオランダ人のハーフを雇いました。ずいぶん助けられました。ドロール委員長(当時)がフランス人だった影響が大きくフランス語の世界でした。最近では、フランス語と英語の両方が日常的に使用されていると昔の記者仲間から聞きました。

イギリスがEUから離脱した場合、EU本部と関連機関のブリーフィングや声明文から英語が排除されるかもしれない、とThe Wall Street Journalが伝えました。EU関係筋は、イギリスの国民投票の結果が出る前から、プレスリリースや演説の多くはフランス語とドイツ語にシフトしていたと話しています。

ユンケルEU委員長はルクセンブルクの元首相。ルクセンブルクの公用語はフランス語とドイツ語です。ユンケル委員長の欧州議会での演説や声明はドイツ語を使用する方針。EU本部の記者ブリーフィングはフランス語だけになったとJournalが伝えています。

イギリスはユーロではなく、ポンドを使用しています。ただ、ユーロ圏の中央銀行に相当するECBは主に英語を使用しています。ユーロ圏で英語を使っているのは小国のアイルランドとマルタだけ。本部はドイツのフランクフルトにありますが、英語を公用語としています。イタリア人のドラギ総裁の会見も英語です。ユーロ圏の19カ国で「最も通じる言葉」だからなのかもしれません。

EUの前身は1958年に発足した欧州経済共同体(EEC)。そして、EECの前身は1953年に設立された欧州石炭鉄鋼連盟(ECSC)。独仏国境にまたがる鉱山を共有、石炭と鉄鋼の生産、価格、労働条件などを共同管理することが目的でした。その時のメンバーは、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクにイタリアを加えた6カ国でした。いわゆるコアメンバーでないイギリスが離脱することが決まったことで、EUはスタート地点に戻りつつあります。脱英語が加速するかもしれません。

[June 27, 2016]  No 031843438

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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