2分でわかるアメリカ

2016/05/17政治化した欧州の音楽祭

週末に、ロシア人の妻が大騒ぎしていました。「フェイスブックが怒りで溢れている」と。

どういうことかと言いますと、14日夜にスウェーデンのストックホルムで開かれたヨーロッパ最大の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」で、誰の目にも最優秀だったロシア代表のセルゲイ・ラザレフさんを破り、ウクライナ代表のジャマラさんが優勝しました、これを受け、ロシア人の妻の「フェイスブック・フレンド」が相次いで「怒り」をぶつけまくりました。

優勝したジャマラさんは、クリミア出身のタタール人。音楽祭では、旧ソビエトの独裁者、スターリンが第2次世界大戦時代にクリミアに住むタタール人を強制移住したことをテーマにした「1944」を熱唱しました。2014年3月にロシアのプーチン大統領がクリミアを強制的に編入したことを間接的に批判したものです。

参加国の審査員による評点ではジャマラさんは2位でした。1位はオーストラリア(ユーロッパの音楽祭ですが、域外からオーストラリアとイスラエルの代表も参加)のダミ・イムさん。視聴者の票を加えた最終得点で、ジャマラさんが僅差で優勝しました。ロシアのラザレフさんは3位でした。

ユーロビジョン・ソング・コンテストは、欧州放送連合(EBU)に加盟する放送局によって1956年から開催されています。1974年に優勝したスウェーデン代表のABBAが世界的スターになったこともあり、ヨーロッパではスターの登竜門になっています。過去に、イスラエルとレバノン、ギリシャとキプロスの間で摩擦が起こるなど、政治的な問題が表面化することが何度かありました。

今回の音楽祭では、アメリカとEUが支援するウクライナ代表が優勝、対立するロシア代表を破るという政治的結果が露骨に出た格好。両国だけではなく、欧米全体で幅広く伝えられました。おかげで、英語で歌ったロシア代表のラザレフさんの動画がユーチューブなどで人気になるという皮肉な結果を招きました。


 


[May 16, 2016]  No 031843409

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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