2分でわかるアメリカ

2016/05/13ミドルクラス・クライシス

日本に白黒テレビが普及、アメリカの人気ドラマが大量に放送された時代がありました。4畳半の「ちゃぶだい」の前に置かれたテレビ画面に、広い家、巨大な冷蔵庫、マイカーが映し出されました。アメリカの豊かさに、日本人が度肝を抜かされました。

1900年代前半からアメリカには途轍もないお金持ちがいました。ただ、世界最大の経済成長を支えてきたのはミドルクラス(中間層)です。大量消費でGDPを押し上げました。そのミドルクラスが、大都市圏を中心に減少しているという調査が発表されました。

Pew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)が11日に発表した報告書によりますと、2000年から2014年の間、全米229の都市のうち203都市でミドルクラスが減少しました。ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴなど主要な都市が含まれています。

特にカリフォルニア州では、26の都市のうち21都市でミドルクラスが減少。特徴的なのは、州都があるサクラメントで、ミドルクラスの多くが低所得層になったことです。対照的に、シリコンバレー関係者が多く住むサンフランシスコでは、富裕層の人口増加率が、低所得層の増加率を上回りました。

全米の都市で共通しているのは、生活費が年々上がる一方で所得が増えない。もしくは減るミドルクラス世帯が多いことです。

今年11月8日に実施されるアメリカの大統領選の共和党の候補者選びで、政治経験のないドナルド・トランプ氏が指名獲得を確実にしました。一方、民主党の候補者選びでは、知名度が圧倒的に高いヒラリー・クリントン前国務長官が、無名だったバーニー・サンダース上院議員に追い上げられています。トランプ氏とバーニー氏を支えているのは、過去の政治、政治家に失望したミドルクラスです。

格差社会、人種差別、銃犯罪など、アメリカは多くの社会問題を抱えています。本当に深刻なのは、ミドルクラス・クライシス(危機)なのかもしれません。


 


 [May 12, 2016]  No 031843407

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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