2分でわかるアメリカ

2016/05/10富豪トランプ氏「お金持ちに増税」

今年11月8日に実施されるアメリカの大統領戦で、共和党の候補者指名獲得が確実視される不動産王ドナルド・トランプ氏の、NBCの報道番組「ミート・ザ・プレス」での発言が大きな話題を集めています。8日に放送されました。

「富裕層は、より多くの税を納めることになるだろう」。

2015年9月に発表したトランプ氏の税制改革案では、富裕層を含むすべての国民の減税を掲げました。連邦政府の最高税率を現在の39.6%から25.0%に引き下げると表明しました。トランプ氏が属する共和党は「小さな政府」を目指し、増税反対が基本理念。8日の「お金持ち増税」発言は、過去の発言を一転させ、共和党の路線に反するものです。

路線変更がもう一つ。トランプ氏は、選挙戦の中で、企業の負担が増える最低賃金に反対してきました。しかし、NBCのインタビューの中で、「時給7ドル25セントで、どうやって生活しろというのか」と述べました。それぞれの州の判断に任せるとしながらも、柔軟に最低賃金を引き上げるべきだと主張しました。

「イスラム教徒の入国を禁止すべき」「メキシコとの国境に壁を築く」。トランプ氏はこれまで、過激な発言を繰り返してきました。しかし、在アメリカのメキシコ人のお祭りである今月5日の「シンコ・デ・マヨ」では、「メキシコ人は友だち!大好きだ」と発言。これまでの「お金持ちの白人」の味方から立場を反転させました。

トランプ氏が綿密に計算していた可能性があります。過激発言で、国民の本音をまず引き出し一定の人気を確保。先が見えたところで、本当の敵である民主党の有力候補であるクリントン前国務長官の支持母体、中間層やヒスパニックなどのマイノリティーの票を切り崩す。トランプ氏は今後、民主党に近い立場、大衆受けする発言を増やしていくと予想します。立場の大きな変化にマスコミが飛びつき、注目度が一段増す可能性もあります。問題は、国民が立場を反転させたトランプ氏を信じるかどうかです。


 [May 09, 2016]  No 031843404

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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