2分でわかるアメリカ

2016/05/04スプリント買収の誤算

最近、携帯電話のキャリアを変更しました。10年近く利用したAT&TからTモバイルにしました。

きっかけは、3月末の日本への家族旅行。AT&Tの国外での通信費、データ・ローミングは高額なので、日本のガラケーを使いました。ところが、Tモバイルと契約している妻は、普通にアメリカの携帯を使っていました。通話は1分間20セント、データ・ローミングの追加料金はゼロだと聞きました。ドイツ系のTモバイルを利用しているのは、ヨーロッパへの出張が多いからだと思っていましたが、日本でも追加料金無しで普通に使えることに驚きました。

大手のAT&Tと比べTモバイルは、通信速度が遅い、カバーエリアが少ない、と考え避けていました。キャリア変更前に念のために実験しました。妻のiPhoneを借りて。デザリングは高速、通信状況を示すバーはどこに移動しても3本以上立っていました。Tモバイルのショップは非常にモダンでフレンドリー。プランがシンプルで、しかも安い。変更して3週間ほど経過しましたが、AT&Tとの差は全く感じません。TモバイルのCEOは、アメリカ最大手のベライゾンと2位のAT&Tは「考えが古い」とコメントしていますが、納得がいきました。

ソフトバンクが買収したスプリントも検討しました。しかし、特徴がなく、海外に強いわけでもなく、惹きつけられるほど安くなかったので、直ぐに選択肢から外しました。ショップが非常に地味で、入る気になれません。おそらく、多くのアメリカ人も同じ印象を持っているのではないかと想像します。スプリントがTモバイルに抜かれ4位になったのは当然だと思いました。

スプリントが3日に発表した今年1-3月期の決算は、最終損益が5億5400万ドル(約590億円)の赤字でした。前年同期比で赤字は倍以上に膨らみました。プリペイドを除く新規契約数が5万6000件増と、ベライゾンとAT&Tを上回りました。しかし、Tモバイルに大きく差をつけられ、アナリストの予想も大幅に下回りました。

スプリントがソフトバンクの傘下に入ってもう直ぐ3年。現状を見る限り、買収は誤算だらけだったのではないかと想像します。相当インパクトがあることをしない限り、業界図が変わることはないように思えます。

[May 03, 2016]  No 031843400

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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