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2016/04/20不動産王トランプ氏と1万円の家賃

今年11月8日に実施されるアメリカの大統領選挙の候補者選びが、きょう19日、山場の一つを迎えました。ニューヨーク州の予備選挙。代議員数が多い、いわゆる大票田での争いです。

民主党の候補者選びでトップを走るヒラリー・クリントン氏はニューヨーク州選出の上院議員を8年勤めています。また、クリントンを激しく追い上げているバーニー・サンダース氏はニューヨーク生まれ。「地元対決」の行方が注目されます。

一方、共和党の候補者選びで首位を維持している不動産王のドナルド・トランプ氏もニューヨーク出身。地元で大きく勝利し、今後への弾みをつけられるかが焦点です。

予備選挙の前日18日、「地元」のThe New York Timesに興味深い記事が掲載されました。ニューヨーク・マンハッタンの一等地にあるアパートをめぐるバトル(紛争)に関する記事です。

1985年。ピアニストになることを夢見て一人の女性が、ロングアイランドからニューヨークに引っ越しました。セントラルパークの南側に位置する祖母の賃貸アパートを引き継ぎました。家賃は、1967年に祖母が契約した額と同じ。月93ドル8セント(約1万145円)。安い!

その数か月後。女性が帰宅すると、ドアに張り紙がありました。退去を求める告知書でした。告知したのはドナルド・トランプ氏。ビルの新しいオーナーです。

トランプ氏は、1980年代からマンハッタンのビルを積極的に購入しました。賃貸向けのアパートビルは、大規模改装後に分譲コンドミニアムに変えました。女性が借りていた賃貸アパートのビルもそうする計画でした。

ニューヨーク州は、一部の賃貸住宅の家賃を凍結、もしくは上昇を大幅に抑制する「レントコントロール」を導入しています。対象になったアパートに住む住人は、相場の半分以下、ときには10分の1程度の家賃で一生暮らすことができます。利益を追求するトランプ氏が、その住人、制度に挑戦したのです。あらゆる手段を使って。

結論は、トランプ氏の敗北でした。女性は今も極端に安い家賃で暮らし、他の一部の住人も相場の5分の1程度の家賃で暮らしています。トランプ氏と対立した住人の一人は、「アパートをめぐるバトルでは敗れたが、ロシアのプーチン大統領やイランとの対応には、トランプ氏の交渉能力が有効だ」とThe New York Timesにコメントしました。



[April 19, 2016]  No 031843391

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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