2分でわかるアメリカ

2016/04/08円高が示す中銀の限界

外国為替マーケットで、円相場の上昇が目立っています。節目の110円を越えて以降、動きが加速しました。110円という水準は、チャート上の米ドル円の「分厚い」支持線でしたが、完全に割りました。

円高が加速したきっかけは、安倍首相のThe Wall Street Journalのインタビューでの発言との見方があります。ウォール街のトレーダーは、起床後にまず確認するのは、ヨーロッパの相場とThe Wall Street Journalの見出しです。5日付けの朝刊に「安倍首相、通貨安競争は回避すべきだと語る」との見出しがつけられました。円高を阻止する為替介入に消極的だと受け止められました。

日本政府の高官が慌てて口先介入しました。しかし、効果がありません。背景には、日銀の金融政策の選択肢が限られている、追加緩和に踏み切ったとしても効果がない、とマーケットに見透かされていることがあります。1月末に、日銀がマイナス金利を導入しましたが、円売りはわずか2日しか続きませんでした。伊勢志摩サミットを来月に控え、アメリカが批判する通貨安を狙った介入に動きにくいと見方も影響しています。

中銀の限界が指摘されているのは、日本だけではありません。ECBは先月の理事会で、予想を上回る積極的な追加緩和策を決めました。ECBのドラギ総裁の期待に反し、ユーロは対米ドルで上昇。その後も堅調に推移しています。「ドラギ・マジック」が効かなくなった、と言われています。

こうした中、FRBのイエレン議長は、早期の追加利上げに慎重な姿勢を示しました。これも米ドル安を誘発、円とユーロを支えています。CNBCは、FRBの慎重なスタンスで、米ドルと円が踊らされていることは興味深いと伝えました。一方、FTは、通貨安競争がより複雑な新たな段階に入ったと解説しました。

いまの円高は、中銀の金融政策の限界を象徴するものだとみられています。円相場の行方は不透明感が強く、世界の幅広いマーケットが不安定化する要因のひとつになっています。



[April 07, 2016]  No 031843384

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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