2分でわかるアメリカ

2016/04/01長蛇の列、まだ見ていないあのクルマ

長い行列ができると、自分も並びたくなる。社会心理学では、同調行動と呼ぶそうです。同調することで安心する。ラーメン店やスィーツ店、もしくはバーゲン開催の小売店。

これが自動車だとどうか。「値段が高すぎて有り得ない」と思うのですが、きのう30日、アメリカやヨーロッパの大都市で、自動車メーカーのショールーム前に長蛇の列ができました。

アメリカのシリコンバレーに本社があるテスラ・モーターズは30日、「モデル3」の予約注文受付を開始しました。テスラといえば電気自動車。セダン「モデルS」がブレークし、サンタモニカでは目立つ存在ではなく、当たり前の存在になるほど売れています。オプションを含めると10万ドル(約1120万円)もする超高級車がこれほど売れるのは「別次元の車」だからだと思います。

「モデル3」の価格は3万5000ドル(約392万円)。高級車級の価格ですが、人気の「モデルS」の半分以下。これが、テスラ・ファンの心理を揺さぶりました。1台につき1000ドル(約11万2000円)の予約金を払えば、誰でも注文できます。2台予約した人もいたそうです。

すごいのは、予約した人が価格以外、どういう車か知らないことです。モデル予想図すらない。しかも発売は2017年末と1年半以上も先。これまでのテスラの歴史から、発売が遅れる可能性もあるのに長蛇の列。テスラのムスクCEO「絶対にがっかりさせない」とツイッターに投稿しました。ムスク氏はいまや、アップルの創業者である故スティーブ・ジョブズ氏に匹敵するスーパースターです。

同じ日、アップルの新型iPhoneSEが発売されました。iPhone発売のたびに見られた行列や混雑は見られませんでした。メディアは「静かな滑り出し」と伝えました。ただ、ドイツのデュッセルドルフのアップル・ストアの前には長蛇の列ができたとThe Washington Postが伝えました。ただ、行列はアップル・ストアではなく、隣のテスラのショールーム前からはじまっていたそうです。



 [March 31, 2016]  No 031843381

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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