2分でわかるアメリカ

2016/03/01「権威」への抵抗

世界の映画界で最高の栄誉とされる第88回アカデミー賞授賞式が28日、ハリウッドにあるドルビーシアターで開かれました。授賞式当日は毎年、ロサンゼルスのいたるところでパーティが開かれます。テレビ鑑賞する人も多く、昨日の市内の道路はガラガラでした。

作品賞は「スポットライト」、主演男優賞はレオナルド・ディカプリオ(レヴェナント)、そして主演女優賞はブリー・ラーソン(ルーム)が受賞しました。ディカプリオは5度目のノミネートで初の受賞。主演した「レヴェナント」は作品賞を逃しましたが、アレハンドロ・イニュリトゥが監督賞を獲得しました。

今年のアカデミー賞は、主演男優と主演女優の2つのメインの賞にノミネートされたのが全員白人だったことから、黒人の俳優らが授賞式をボイコット。ハリウッドの開場前では人権活動家らの抗議集会が開かれました。それを考慮してか、人権に配慮したコメントがやたら目立ちました。

アカデミー賞を選ぶのは約5800人いる映画芸術科学アカデミー会員です。会員の平均年齢は60歳を超えていて、80歳を超える会員も少なくありません。また、白人が90%超、男性は80%超と偏っています。黒人俳優らの抗議は古臭い白人優位の「権威」への抵抗だと言えます。

「権威への抵抗」は、アメリカの大統領選でも見られます。アメリカでは伝統的に、白人で、アングロサクソンで、プロテスタント、いわゆるワスプ(WASP)に代表されるエリート層が支配してきました。共和党の候補者選びで、アウトサイダーのドナルド・トランプ氏の支持が高いのは、確立された体制や権威を示す「エスタブリシュメント」への反発だと分析されています。民主党の候補者選びでユダヤ人のバーニー・サンダースが予想外に善戦しているのも同じ背景だと見られます。

ヒスパニックやアジア系が増え、アメリカの人口構造が変わりつつあります。「権威」「エスタブリシュメント」への抵抗が、今後、いろいろな局面で増える可能性があります。



[February 29, 2016]  No 031843360

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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