2分でわかるアメリカ

2016/02/18アップルとFBIが激突

アップルとFBIが戦争をしている。などとアメリカで大きな話題になっています。

去年12月にロサンゼルス郊外のサンバーナーディーノで発生した銃乱射事件に関し、容疑者のリズワン容疑者と妻が所有していたiPhoneのロックを事実上解除するようFBIが求めました。ロサンゼルス連邦地方裁判所が、FBIの要求を認め、アップルに対し妥当な技術支援を行うよう命じました。

FBIはiPhoneのロックを直接解除することを求めているわけではありません。具体的には、パスワードを10回以上間違った場合に全てのデータが消去されるiPhoneのセキュリティ上の重要な機能に関するもの。FBIはアップルに対し、データ消去を防ぐソフトウェアを作るよう求めています。これによりFBIは事実上iPhoneのパスワードを突破できることになります。

アップルのティム・クックCEOは、FBIの要求を拒否すると表明、裁判所の命令にも反論する構えです。顧客に宛てた書簡の中でクック氏は、「FBIはiPhoneのバックドアを作れと命令してきた」などと激しく批判、「アメリカ企業の顧客をサイバー攻撃の危険にさらすよう強いられた例はない」と指摘しました。

多くの機密情報がリークされた2013年の「スノーデン事件」の際、シリコンバレーのセキュリティに関する信頼性が揺らぎました。それが大きく影響して、今回のFBIの要求はアップルをはじめとするシリコンバレーの懸念を高める結果になりました。多くのIT企業がアップルの対応を支持しています。中国で同様の動きが広がることへの不安もあります。

一方で、容疑者のiPhoneに事件解明の鍵が含まれている可能性があることから、アップルの対応への批判も出ています。事件の犠牲者の遺族がアップルに失望したと語りました。アメリカ大統領選の共和党の候補者選びで首位を走るドナルド・トランプ氏は「アップルは一体何様だと思っているのか。ロックを解除すべきだ」とコメントしました。

今回の件が最終的にどう決着するのかわかりません。ただ、この手の論争、シリコンバレーと治安当局の対立が今後増えることは間違いないと思います。



 [February 17, 2016]  No 031843352

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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