2分でわかるアメリカ

2016/02/17アメリカを変える最高裁判事

きのうまでの3連休。アメリカではいたるところで弔意を表する半旗が掲げられました。妻と娘から何故かと聞かれ、「最高裁判所の判事が死亡したから」と答えました。2人はその意味が理解できない様子でした。

日本のメディアでは小さな扱いですが、アメリカの各メディアはトップ級で、連邦最高裁判所のアントニン・スカリア判事の死去を詳しく伝えました。CNN 、MSNBC、FNCの3つのニュース・チャンネルはスカリア判事の関連ニュース一色。

スカリア判事は、趣味の狩りをするため訪れたテキサス州の高級リゾート施設の寝室で13日に死去しました。死因は心臓発作、もしくは自然死とされていて、事件性はありません。9人いる判事の1人が死亡したことを何故これほど主要メディアが大きく伝えるのか。後任がアメリカの方向を決めることになり、11月8日の大統領選挙の行方にも大きな影響を与えるからです。

連邦最高裁はアメリカ合衆国の最上級の裁判所です。判事の定員は、1869年以降は9人。任期はなく、死亡もしくは自ら引退しない限り生涯、地位が保証されます。判事と言っても人間。思想やバックグラウンドが異なります。死亡したスカリア知事はレーガン大統領(当時)が指名、保守派でした。残る8人の判事は、共和党に近い保守派が4人、民主党に近いリベラル派が4人。このため、同性婚や銃規制などの判断では5対4と言うきわどい判断が増えていました。

仮にスカリア判事の後任にリベラルな人物が選ばれた場合、アメリカでは地球温暖化対策などで民主党のオバマ大統領の判断に合憲性が出る可能性が高まります。銃規制の強化も同様。スコリア判事の後任を指名するのは大統領ですが、上院の同意が必要です。オバマ大統領がリベラルな候補を示した場合、共和党が過半数を持つ上院がそれを阻止する方針を早くも示しています。

大統領選の主要な議題に浮上。各候補が最高裁の人事に発言しています。世論調査で共和党候補の2位につけているテッド・クルーズ氏は、早い段階から最高裁判事のバランスの問題を指摘していて、最も有利に働くとみられています。

大統領選挙と言う「政治の年」に浮上した9人目の判事の問題。全米の世論を巻き込んだ議論が続きそうです。大統領と最高裁という三権の2つが、「宙ぶらりん」の状態になっています。



[February 16, 2016]  No 031843351

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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