2分でわかるアメリカ

2016/02/12質への逃避、ゴールドラッシュ

世界のマーケットの混乱が続く中、安全資産とされる金にマネーが流入、リスク資産とされる株式と反比例する形で金の相場が上昇しています。世界の中央銀行の一部がマイナス金利を導入、「金利を生まない金」への注目が集まっています。

金相場は、11日のニューヨークの取引では、節目のトロイオンス1200ドルを超えて急上昇、過去1年の最高水準をつけました。上昇率は4%を超えました。金融危機以来の変動です。

この日は、前日の下院に続いてFRBのイエレン議長が上院で証言。アメリカ経済の成長が鈍化するリスクがあると再度警告しました。一方、スウェーデンの中央銀行は主要な政策金利を0.15%引き下げ、マイナス0.50%にすることを決めました。引き下げ幅は予想より大きく、中銀は追加緩和を示唆しました。

欧米マーケットでは、原油相場が続落、株式相場が大幅続落しました。その反面、安全資産とされる米国債が買われ利回りが低下、円とスイスフランが買われました。典型的なリスク回避相場。この動きが、金相場を押し上げました。金は代替通貨とも言われ、米ドル相場と裏表の関係。つまり、「金相場の上昇は米ドルへの信任の低下」を意味します。例外もありますが、少なくとも今はそうなっています。

原油相場が低迷している最大の要因は過剰供給です。サウジアラビアをはじめとするOPEC各国が世界シェアを下げたくないため減産に踏み切れない一方、アメリカが40年ぶりに原油輸出を解禁しました。タイミングの悪いことに、欧米の経済制裁が解除されたイランが輸出を拡大しました。中国をはじめとする新興国の需要が低下、需給関係が完全に崩れています。

原油と対照的に金は供給不足。リサイクルの金の量が過去8年で最低水準になっていることも影響して、世界の金供給量は4258トンと前年比で4%減少しました。加えて、ロシアなど一部の国の中央銀行が外貨準備の一部として金の保有を急激に増やしています。世界的なリスク回避ムードに加え、需要増供給減の状況も相場に影響しています。

世界の株式相場がベアマーケット入りしました。直近の高値から20%以上下落した状態を指し、一段安を示唆しています。一方、金相場は年初から19%上昇、ブルマーケットの領域に接近しました。一段高になると上げが加速するとの指摘があります。



[February 11, 2016]  No 031843349

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.01.19 更新NY連銀総裁の警告不法移民を減らし、麻薬取引や人身売買などの犯罪を撲滅するためメキシコとの国境にスティール製の壁を建設するとのトランプ大統領の公約。国境警備の強化には賛成するもの…
  • 2019.01.18 更新ウォール街、株強気派増える17日のニューヨーク株式マーケットでは、モルガンスタンレーの決算が予想を下回ったことなどが影響し売りが先行しました。ただ、下げ幅は限定的。後半の取引で上昇に転じ…
  • 2019.01.17 更新メイ首相続投、5つのシナリオメイ首相が提示したEU離脱協定案の賛否を問うイギリス議会下院の投票が15日夜実施され、反対多数で否決されました。メイ首相が率いる与党・保守党からはEU離脱派と残…
  • 2019.01.16 更新政府閉鎖のネガティブ効果メキシコ国境の壁建設の予算をめぐるトランプ大統領と民主党の対立が続いています。解決に向かう兆候はまったくみられません。9つの省庁の予算が切れ、政府機関の約25%…
  • 2019.01.15 更新破たんした電力会社、どうなるカリフォルニアで起きた山火事をめぐり、一因をつくったとされる電力大手PG&Eが今月29日にチャプター11(日本の民事再生法に相当する連邦破産法第11条)の適用を…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ