2分でわかるアメリカ

2016/01/16米経済、急ブレーキの兆候

去年11月末のブラック・フライデー、その後の年末商戦。何度かショッピング・モールに足を運びました。例年と比べ、人手が少ないように感じました。特にデパートは買い物客が少なかったです。衣料、家電をはじめ小売は競争が激しく、いつ行ってもセールをやっているので、「ホリデーセール」のインパクトがありません。会社の同僚らへのクリスマス・ギフトを例年よりダウングレード、もしくは少なめにしたアメリカ人の友人も少なくありません。

12月の経済指標、小売売上高は「年末商戦の結果発表」のような性格があるため、例年注目を集めます。アメリカ商務省が15日に発表した12月の小売売上高は前月比0.1%減で、予想を下回りました。変動が激しい自動車、ガソリン、建材、食品を除くコア売上高は0.3%減となり、11月の0.5%増からマイナスに転じました。Reutersは、第4四半期のアメリカ経済の成長に急ブレーキがかかった兆候が示されたと解説しました。

原油相場が急落したことで、ガソリン価格が大幅に下がりました。テキサス州では日本円に換算してリッターあたり50円を割っています。自動車社会のアメリカでは、通常、ガソリンで浮いたお金が消費に回る傾向がありますが、そうなっていません。雇用が拡大、FRBが利上げに踏み切るほど景気が回復したとされていますが、消費者の財布の紐は固いです。余裕が出た資金を貯蓄やローンの支払いにあてているとみられます。アメリカの個人消費がGDPに占める割合は他国と比べ非常に高く、約7割を占めています。

15日に発表されたアメリカの12月の鉱工業生産指数と設備稼働率、そして、ニューヨーク州の1月の製造業業況指数はいずれも弱く、予想を下回りました。消費者だけはなく、企業も景気の先行きを慎重に見ていることを示しています。

FRBは、12月のFOMC後に公表した内部の見通しで、今年は4回の追加利上げをすると予想していることがわかりました。しかし、消費者と企業の心理の急激な悪化、最近の世界的な金融市場の混乱などを受け、FRBが見通しを修正する可能性があるとの見方が増えています。「FRBのシナリオが崩れつつある」との声もあります。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は15日の講演で、「今後の利上げペースは経済指標に左右される」と述べました。FRBが金融政策を決めるFOMCの次回会合が1月26日と27日に開かれます。どういう声明を出すか、注目したいです。
 


1月第3週月曜日の週明け18日(米国時間)はマーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーで連邦祝日。お休みとし、19日に再開します。
[January 15, 2016]  No 031843332

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.08 更新2019年のFRB、世界経済、投資マーケットの2018年のテーマは、堅調なアメリカ経済、利上げを継続するFRB、トランプ政権の保護主義的な政策でした。トランプ大統領やFRBのパウエル議長の発言で…
  • 2018.12.07 更新NY株安、ミステリーで始まったニューヨーク株式市場は5日、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の国葬のため休場でした。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、アメリカ東部時間の5日午後6時…
  • 2018.12.06 更新第41代アメリカ大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ第41代アメリカ大統領の葬儀が5日、ワシントンで営まれました。国葬は2007年のジェラルド・フォード第38代大統領の葬…
  • 2018.12.05 更新逆イールド、景気後退の恐怖通常、償還期間が短い債券の利回りは、期間が長い債券の利回りより低い。例えば、2年債の利回りは10年債利回りより低い。ただし、逆転することがあります。金融業界で「…
  • 2018.12.04 更新米政府閉鎖めぐる駆け引きアメリカ連邦政府の2019年会計年度(18年10月〜19年9月)の正規予算はまだ成立していません。今週金曜日7日までに合意しなければ、政府機関の一部が閉鎖される…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ