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2016/01/09「お金持ちの掟110」流出する中国マネーの行き先

中国市場の混乱が年初から続いています。9日の取引では、人民元安、株安が落ち着きましたが、混乱は当面続くとの見方が優勢です。

金融市場が混乱した主な原因の1つは中国経済の減速です。それを反映して、「バブルではないか」と囁かれた不動産市場が弱含む見通しです。ロンドンに拠点がある不動産大手ナイト・フランクの調査では、中国の上海の不動産価格の2016年の上昇率は4%にとどまり、2015年の10%と比べ、ブレーキがかかる見通しです。中国の領土である香港、そして中国人が多く住むシンガポールの不動産価格も急減速する見通しです。

一方で、オーストラリアのシドニーは、中国マネーの流入が不動産価格を引き続き押し上げる見込みです。2015年の15%ほどではありませんが、10%上昇するとナイト・フランクは予想しています。

シドニーの中心部は「ここは中国か」とさえ思うほど、中国本土からの移住者と訪問客で溢れています。中国語だけで住宅広告を出している不動産会社が何件もあります。チャイナタウンがある中心部のディクソン・ストリートや郊外のチャットウッド地区には、中国人富裕層を対象にした高級住宅の建設ラッシュが続いています。

フランク・ナイトの調査部門の責任者は、「中国経済の不透明感が強まり、中国の富裕層が、さらに中間層までが国外への投資を増やしている」と調査レポートでコメントしました。

中国マネーはアメリカの不動産市場にも流入しています。富裕層に不利なイギリスの税制を嫌って、ロンドンではなく、アメリカのニューヨーク、マイアミ、ロサンゼルスなどの高級不動産を中国人が積極的に買っているとフランク・ナイトが指摘しています。ヨーロッパでは、モナコが中国人富裕層に人気だとしています。

「爆買い」の中国人観光客が多い日本では、中国マネーが不動産相場を押し上げるほどの影響は出ていないように思います。富豪のCEOが行方不明になって注目された復星集団傘下の企業が日本での不動産投資を積極化していますが、お金持ちの中国人が自ら居住する住まいを日本で購入するという話は聞きません。日本は外国人富裕層が住みにくい社会だから、だと個人的に思います。


 
[January 09, 2016]  No 031843327

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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