2分でわかるアメリカ

2015/12/10門狭める「国連の国」

「国連のような国」だとアメリカに住んでいて感じます。「人種のるつぼ」という言葉がありますが、世界のあらゆる人種、民族、宗教の人が暮らしています。会社でも学校でも同じ。娘が通う高校では、親の出身国を含めると50か国以上に及ぶと思います。たぶん。このため、法律やルールが「差別」を厳しく禁止、あらゆるコミュ二ティが男女や年齢を含めた差別に敏感になっています。アメリカで「差別」はタブーです。

そのタブーに反する人物が大きな議論を呼んでいます。不動産で財を築いたビリオネア、2016年大統領選の共和党の候補者選びで先頭を走るドナルド・トランプ氏です。 イスラム教徒のアメリカ入国を禁止するよう訴えています。先月のパリでの同時多発テロ、そしてロサンゼルス郊外のサンバーナーディーノで起きた夫婦による乱射事件がきっかけです。第2次世界大戦中にアメリカに住む日本人を強制収容したルーズベルド大統領(当時)を引き合いに出し、自らの主張を正当化しました。

共和党のライアン下院議長はトランプ氏を非難。ホワイトハウスのアーネスト報道官は「トランプ氏は大統領になる資格を失った」と批判しました。日本で報道された通りです。しかし、アメリカには、トランプ氏の「イスラム教徒入国禁止」を強く支持する人も少なくありません。トランプ氏が演説したフロリダ州の会場ではスタンディング・オベーションが続きました。大統領選候補者選びで鍵となるアイダホ州でも、トランプ氏の支持が一段広がりました。

トランプ氏は、メキシコ人を始めとするヒスパニック批判で支持を伸ばしました。今度はイスラム教徒に矛先を変えた格好。今後、イスラム教徒に対する過激発言を繰り返すとみられます。

一方、アメリカ下院は8日、ビザ(査証)なしでアメリカに90日間滞在できる「ビザ免除プログラム」の適用を厳しくする法案を圧倒的賛成多数で可決しました。日本を含めた38か国が対象になりますが、そのうち30か国はヨーロッパです。テロの容疑者がいたフランスとベルギー、そしてヨーロッパのパスポートを所持する中東出身者、イスラム教徒を意識したものです。

「国連の国」であるアメリカの門戸が狭められる方向にあり、今後世界に影響する可能性があります。



[DECEMBER 09, 2015]  No 031843308

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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