2分でわかるアメリカ

2015/12/09トレーダーが意識する原油の下値メド

原油相場が前日に急落、株安、資源国通貨安につながりました。8日の取引でも売りが先行、ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTIが一時バレルあたり36ドル台に下落しました。後半の取引で値をやや戻しましたが、OPECが生産調整に失敗したこと、ドル高、温暖化を背景に、原油相場が一段安になるとの見方が優勢です。

トレーダーはこれまで38ドルを意識していました。テクニカル的に非常に強い支持線とされてきたからです。しかし、7日の取引で簡単に破られました。CNBCは、次の下値メドは32ドルとの見方が多いと伝えました。

32ドルを下回ると、アメリカの石油会社の多くが採算割れになります。テクニカル分析でも32ドルが38ドルに次ぐ強い支持線。さらに、歴史的にも32ドルが重要。過去10年間の最安値は2009年1月に記録した32ドル70セントです。これが転換点となり、原油相場は上昇基調に転じました。

ただ、ゴールドマン・サックスのアナリストをはじめ原油相場が20ドルまで下落する可能性があるとの予想も一部であります。

WTIが30ドルを割ったことは2003年以降で一度もありません。もしそうなった場合どうなるか。一般消費者はガソリン代が下がって余裕が出ますが、コストが高い石油会社の多くが破たんする可能性があります。日本やユーロ圏でみられるデフレ現象が世界に広がることも予想されます。株式相場が低迷、外国為替市場では、特にカナダドルやノルウェーのクローネ、メキシコペソなど産油国の通貨か売られ、豪ドルや南アフリカランドなどの資源国通貨にも下方向への圧力になるとみられます。FRBなど世界の中央銀行や民間のエコノミストが描いたメインシナリオが崩れる可能性があり、当面、原油相場の動きにマーケットの注目が集まりそうです。



 [DECEMBER 08, 2015]  No 031843307

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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