2分でわかるアメリカ

2015/12/02成人2500万人が銀行口座を持てない先進国

アメリカは世界で最も小切手を使用する国です。給与、光熱費、スーパーマーケットなど幅広い支払いのため、日常的に使っています。世界最先端の金融システム、技術があるアメリカが、いまだにアナログな小切手を多用しているのは不思議です。

ただ、最近では、小切手をスマートフォンで入金できるようになりました。大変便利です。金融機関のapps(アプリ)を使って小切手の裏表の写真を撮り入金します。ただ、アメリカには最新のスマートフォンを持っていても、伝統的な銀行口座を持たない人が意外に多くいます。

「お金持ちクラブ」と呼ばれるOECDの加盟国のほとんどは、15歳以上の銀行口座の保有率が限りなく100%に近くなっています。ジョージ・フォックス大学が2013年に発表した研究報告では、ドイツ、イギリス、カナダ、そして日本などの保有率は98-99%。しかし、世界最大経済のアメリカは93%と、G7の中でイタリアに次いで低い率でした。

アメリカのルー財務長官はFinancial Timesのインタビューの中で、アメリカの7%超の家族、成人の約2500万人が銀行口座を持っていないとした上で、状況を変えたいと述べました。問題は、銀行口座の維持費が高すぎることだとしています。2008年の金融危機後に、金融機関が最低残高を大幅に引き上げ、手数料も高くしたことで、多くのアメリカ人が銀行口座を維持することを諦めたと説明しました。手数料がかからない最低残高が日本円換算で100万円近く、送金手数料は3000円超と確かに高いです。

ロサンゼルスには、小切手を現金化するサービスを提供する小規模会社があらゆるところにあります。ステータス的に銀行口座を持てない非合法のメキシコ人などが主に利用していますが、最近は普通のアメリカ人の利用が増えていると事情に詳しい知人から聞きました。アメリカは、貧しい国の人が銀行口座を利用できるようにする取り組みの旗振り役ですが、足元の状況を考えると皮肉な話だと思います。



[DECEMBER 01, 2015]  No 031843302

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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