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2015/11/10FRBが利上げしたら

「憶測は終わった。金融市場は、FRBが12月に金融引き締めに転じることを固く信じている」とFinancial Timesが解説しました。先週金曜日6日に発表された予想を大幅に上回るアメリカの10月雇用統計を受け、「12月利上げ」確定を前提に動き出したかのようにみえます。

ニューヨーク株式市場は、雇用統計発表直後の6日はもみ合い、方向が定まりませんでした。そして、雇用統計の解釈が出揃った週明け9日は売りが先行しました。「金融政策の不透明感が消えつつある」とポジティブな解釈もありますが、金利上昇の局面で資金が他の金融商品に流れるとの懸念が広がりつつあります。「資金ジャブジャブ」の時代は終わったとの見方での展開が続きました。

外国為替マーケットでは、低金利でドルを調達した、いわゆる「ドルのキャリートレード」が向かった新興国の通貨が、「巻き戻し」の影響を大きく受ける可能性があります。雇用統計の発表を受けた6日の取引では、ドル買い新興国通貨売りが鮮明でした。新興国の下落基調が続くとの見方が優勢です。

不動産業界では懸念が広がっています。大都市を中心に住宅価格が大幅に上昇、一部では「バブルではないか」との見方すら出ています。住宅ローンの金利は、米10年債、米30年債の利回りと連動しています。実際に居住する住宅の購入を検討している層に障害となる可能性があります。このほか、学生ローンや自動車ローンなど消費者に幅広く影響することが予想されます。

パリに拠点を置くOECDは9日、来年の世界の経済見通しを下方修正しました。来年の実質成長率を9月時点の3.6%から3.3%に大幅に引き下げました。アメリカについては、今年は0.6%の見通しを据え置きましたが、来年は0.2%引き下げ1.0%としました。ユーロ圏と日本の見通しも下方修正しました。中国については、今年は6.8%、来年は6.5%としました。FRBの利上げを見込んだ予想です。OECDは、新興国での商品価格の下落、潜在成長率の低下、金融市場の脆弱性などの課題が増大していると見解を示しました。FRBより、悲観的な見方と言えます。

FRBがマーケットの予想通り12月利上げに踏み切れば、曇り空での「テイクオフ」になる予感がします。



[NOVEMBER 09, 2015]  No 031843288

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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