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2015/10/24「お金持ちの掟104」アメリカ人の資産隠し

レオナルド・ディカプリオが主演した2013年公開の映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)」。3時間近くある長編映画の後半は、税金を逃れるためスイスの銀行に資産を隠すストーリーが中心になります。スイスの銀行の幹部が資産隠しの手口を勧めています

映画はジョーダン・ベルフォート氏の回想録が原作。映画向けに脚色されていますが、類似したことが実際に行われていたと想像します。世界のお金持ち、特にアメリカの資産家は、伝統的にスイスの銀行に資産を隠していました。

秘密主義で知られるスイスの銀行ですが、2007年以降の世界的な金融危機をきっかけに、顧客情報を当局に提供する動きが広がっています。情報を提供する見返りに、刑事訴訟を見送るというアメリカ司法省の「ディール」にスイスの銀行がのった形。いわゆる司法取引です。

スイスの銀行からアメリカ司法省に提供されたのは、個人情報のほか、国外に資産を隠す方法をどう具体的に勧めたかの暴露情報が含まれています。スイスの銀行が関わった40以上の和解文書をThe Wall Street Journalが精査、租税回避術や顧客口座を隠し続ける方法を詳しく伝えました。

スイス南部にあるBSIなど一部の銀行は、アメリカの顧客がいつでも資金を引き出せるようにするため、追跡が困難なプリペイド式のデビッドカードを発行していました。資金が足りなくなると、顧客は暗号をメールで送り、資金追加を依頼していました。

スイスの金融機関の大半は、数人の幹部や従業員しか知らない数字やコードネームを使った秘密口座を顧客に提供していました。また、アメリカの当局の捜査を恐れて、アメリカ宛の郵便をスイス国内に保管していました。

このほかスイスの銀行は、タックスヘーブンに設立した信託や基金を使ったり、マネーロンダリング規制を逃れるため、アメリカ人顧客に1万ドル未満の現金引き出しを繰り返させたり、現金の一部で金(ゴールド)を購入させたりしていました。

アメリカ人顧客に対し資産隠しの手助けをしていたのは、スイスの大手銀行だけではありません。最初に捜査対象になった大手銀行から逃げ出した資金の受け皿もスイスにありました。住宅ローンを専門とするスイスの小規模の地方金融機関がアメリカの資産家に秘密口座を提供していました。

スイスの銀行と5万4000人のアメリカの納税者が2009年に支払った和解金や罰金の合計は、120億ドル(約1兆4520億円)にのぼったとThe Wall Street Journalが伝えました。



[OCTOBER 23, 2015]  No 031843277

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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