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2015/08/26あのCEOが「Black Monday」にルール違反?

中国発の世界同時株安、そして世界のマーケット全体の混乱が25日、一服したようにみえました。しかし、ニューヨーク株式相場が終盤の取引で大幅高から大幅安に転じました。マーケットの不安定な地合いを示す格好になりました。

ところで、前日のニューヨーク株式相場は、世界株安の連鎖で急落しました。中国では「Black Monday(暗黒の月曜日)と呼ばれました。取引開始直後に売りが膨らみ、ダウが一時1089ドル下落しました。ナスダック指数の下落率は一時8%を超え、「パニック」という言葉も聞かれました。ETFが指数を押し下げたとみられています。しかし、取引時間の半分が過ぎた頃、ダウは突然、値を戻しました。「上げに転じるのか」と思えるほどの急速な戻しでした。結局ダウは588ドル安で取引を終えたのですが、「あの急激な戻しはなんだったのか」という疑問が残りました。

その答えがThe New York Timesに書いてありました。アップルのジム・クックCEOが、経済チャンネルCNBCの「Mad Money」のホストであるジム・クレマー氏に送ったeメールが原因でした。元ヘッジファンド・マネジャーで現在も資産運用を続けるクレマー氏は日曜日23日の夜にクックCEOに対しeメールを送りました。「中国が大変なことになっている。中国懸念、不安がマーケットにあふれている。何かコメントはあるか」という内容でした。

アップルは、世界最大の時価総額を誇るアメリカで最も重要な企業。返事を期待していなかったのですが、翌24日月曜日の朝8時頃、クックCEOから返事がきました。クックCEOは早起きで有名ですが、eメールは居住するカリフォルニア時間の朝5時に返信されました。

その中でクックCEOは「中国での販売状況の報告を毎朝受けている。7月から8月にかけての中国でのビジネスは強い。将来を予測することはできないが、これまでのところ、今期のパフォーマンスは堅調だ」と述べました。

クックCEOのeメールの内容は、クレマー氏が取引時間中に公表しました。ウォール街はこれに敏感に反応、全面安の中、アップル株は一時的にプラスに転じました。時価総額が大きいため株価指数への寄与度が高く、主要株価指数を大幅に押し上げました。

これについて、証券取引の警察であるSECが懸念を表明しました。クック氏がSECのルールに違反したのではないかとの懸念。上場企業は、一部の人だけに販売や財務情報などを開示することが禁じられています。数字は入っていませんが、「グレー」とも言えます。The New York Timesは、eメールの詳しい内容が調査対象になるとするSECの弁護士のコメントを紹介しました。

アップルのクックCEOは、ゲイであることを告白するなど、故スティーブ・ジョブズ氏と異なりオープンな部分があります。今回のクック氏の行動は、オープン過ぎた可能性があります。アップル株は先月の決算発表以来、下落基調にあり、株価が高値から10%近く下がっていました。

 
 [August 25 2015]  No 031843235

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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