2分でわかるアメリカ

2015/08/18中国公安、アメリカで「キツネ狩り」

中国の中央銀行にあたる人民銀行が、通貨・人民元の対ドル相場の基準値算出法を変更、事実上の大幅な切り下げを実行し、世界のマーケットが動揺しました。アメリカでは「為替操作国」として中国への批判が高まっています。習近平国家主席が来月、アメリカを訪問しオバマ大統領と会談しますが、中国の政府機関とみられるグループがアメリカ政府や企業のサーバーをハッキングした問題などに加え、新たに2国間の難問が増えた形です。

そして、もう一つ難問が増えそうです。The New York Timesは週末、中国の公安関係者が旅行者もしくは商用の名目でアメリカに入国、収賄や機密漏洩容疑などがかかった中国人を取り締まっていると報じました。中国国内にいる親族の安全を脅かすなどして脅迫、事実上の強制連行をしているとしています。中国政府はこれを「Operation Fox Hunt(オペレーション・フォックス・ハントもしくはキツネ狩り)」と呼んでいるとしています。

アメリカ国内での中国人の公安活動があまりも露骨で目立つため、アメリカ政府が中国政府に活動を止めるよう警告しました。アメリカのCIAは中国国内で、政治、経済、軍、産業情報などに関する「スパイ活動」をしていますが、目立つ行動は控えているのではないかと想像します。

「キツネ狩り」は、習近平主席の「汚職撲滅」キャンペーンの重要な柱だとThe New York Timesが解説しています。中国公安によると、去年以降に930人が中国に戻されました。中国公安は、アメリカ以外でも、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど中国人が好む移住先を中心に工作員を送りこんでいます。去年12月には、中国の警察官2人がオーストラリアで逮捕され、中国の外交官が強制送還される事態に発展しました。アメリカ、カナダ、オーストラリア、そしてニュージーランドと中国との間には、「犯人引渡し協定」がありません。

冷戦時代の米ソ間ではなく、いまの時代にスパイ映画や小説で描かれる世界が現実に起こっている。The New York Timesの記事を興味深く読みました。米中間はいま、過去に例がないほど、緊張した状態になっています。

 
 [August 17 2015]  No 031843229

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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