2分でわかるアメリカ

2015/08/14最低賃金1875円の世界

中国の中央銀行にあたる人民銀行が今週、3度に渡り通貨、人民元の対ドル相場の基準値を大幅に引き下げました。基準値は取引の目安で、その値から上下2%の変動を人民銀行が容認する仕組みです。人民元の切り下げにより、中国製品の価格が下がり輸出に有利になります。同時に、賃金の高騰を理由に製造拠点をベトナムなどの他の新興国に移転するメーカーが増えていますが、この点でもドルベースの賃金が低くなり、競争力が強化されます。

中国では、各都市、地区が時給ではなく月給ベースの最低賃金を定めています。最も高いのは北京で、月1720元(約270ドル、約3万3750円)です。単純に30で割ると日給9ドル(約1125円)、1日8時間労働と考えると時給1.125ドル(約140円62銭)になる計算です。比較のための単純計算ですが。

話は変わってアメリカ。ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市では、5年以内に最低賃金が時間あたり15ドル(約1875円)に上がります。格差が社会問題になる中で、地方都市の議会が相次いで「15ドル」を可決しました。現行水準から大幅に上がります。日本の倍以上、中国の13.33倍です。

アメリカで最低賃金の象徴になっているのが、ファーストフード店、特にハンバーガー店です。「15ドル」法案に対し「値上げにつながり消費者に影響する」と猛烈に反対しましたが、多くの都市で法案が通りました。企業の多くはしかたなく「15ドルの世界」を想定して経営を見直しています。

どうするのか。フォーブス誌に掲載されたコラムによりますと、ハンバーガー・チェーン大手のウェンディーズは、人員を削減する方向だとしています。現在の販売員の賃金を時給15ドルにすると利益が吹っ飛ぶ、価格を引き上げると客離れが進むなどの影響が出るため、自動化を進め人間の作業量を減らすということだと思います。営業時間の短縮などもあるかもしれません。FRBが注目する雇用者と賃金の両方の増加を達成するのは容易ではないのかもしれません。

 
[August 13 2015]  No 031843227

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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