2分でわかるアメリカ

2015/07/30曇り空の米住宅市場

過去2、3年に渡りアメリカ経済を主導してきた住宅市場に陰りが出てきました。

全米リアルター(不動産業者)協会が29日発表した6月の中古住宅販売仮契約指数が前月比で1.8%低下しました。半年ぶりのマイナスです。仮契約とは、売り手と借り手が売買契約をすることを前提に第3者が運営するエスクローと呼ばれる決済口座を開設した段階の状態を示します。指数化したものは住宅販売の先行指数です。

中古住宅は、全米の住宅販売の約90%を占めます。6月の仮契約指数は今年3番目に強い数字でしたが、最近続いていた力強い勢いが後退したことを示唆しました。

最近発表された住宅着工件数や建設許可件数は底堅かったものの、先週金曜日に発表された新築一戸建て住宅販売件数は前月比で減少しました。

統計がまだら模様になっている背景には、在庫が低水準にある、つまり売り物が少ないことがあると指摘されています。もう一つは価格が高くなりすぎたことがあると思います。2006から2007年にバブルが弾けたアメリカの住宅市場は、ファンドや中国人をはじめとする外国人投資家による「現金爆買い」がけん引する形で堅調に推移しました。しかし、いまの水準で計算すると投資妙味が低いことから、投資が大幅に少なくなった可能性があります。

初めて住宅購入を検討している若い世代などが購入を控え、賃貸を好む傾向が強まっていることも住宅市場が曇り空になっている背景の一つ。アメリカ商務省が28日に発表した第2四半期(4-6月)の住宅所有率は63.5%と、統計を取り始めて以来の最低水準に達しました。

FRBは、早ければ年内にも利上げする方向にあります。観測が強まれば米10債、米30年債の利回りが上昇、それらに連動する住宅ローン金利も上昇することになります。駆け込み需要があってもおかしくない時期に発表された弱めの指標は、数字以上に住宅市場の陰りを示しているかもしれません。

 
 [July 29 2015]  No 031843216

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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