2分でわかるアメリカ

2015/07/23増収増益でも売られるアップル

増収増益、そして、成長のために重要な中国市場での売上増と拡大計画。この手の決算が発表されると株価は急上昇します。ただ、それは普通の会社の場合。

Financial Timesは、ウォール街はアップルに関して別の基準で決算をみていると指摘しました。世界最大の時価総額を誇り、アメリカで最も大事な会社であるアップルは、6四半期連続で増収増益となった前日の決算発表直後から時間外取引で急落、22日のニューヨーク市場で商いを伴って売られました。日本円に換算して時価総額4兆円以上が吹っ飛びました。

いったい何が起こったのか。

アップルは、iPodとiTunes、iPhone、そしてiPadと、世界のライフスタイルを変える革新的な製品を生み出しました。ドル箱のiPhone6とiPhone6 Plusの販売は依然好調、今年秋にも発表されると予想される「iPhone6S」と「iPhone6S Plus」も大ヒットすることが確実視されています。しかし、スマートフォン市場が成熟、販売拡大の余地が限られてきました。また、大型スクリーンのiPhone6とiPhone6 Plusが、iPadの売上に影響していることも指摘されています。経営用語でいう「カニバライゼーション」が起こっているということです。

そして、アップル株下落の最大の要因は、iPadに次ぐ革新的な製品がないことだと考えられます。5年ぶりの新製品としてアップル・ウォッチが今年発売されましたが、ニッチの領域を出ていません。アップルはスマート・ウォッチの販売動向を公表していません。ただ、「その他製品」の売上高が小さく、アップル・ウォッチの売上高が予想を下回っていることが窺えます。実際、アップル・ウォッチを買った人を個人的に知りません。ほとんどの人が、iPhoneとiPadを持っていますが。

いずれにせよ、投資家とアナリスト、そして消費者のアップルに対する期待値は非常に高いと言えます。アップルの、そして故スティーブ・ジョブズから経営を引き継いだティム・クックCEOの宿命だと言えると思います。革新的な新製品、新サービスに期待したいです。

 
[July 22 2015]  No 031843211

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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