2分でわかるアメリカ

2015/07/21Jet.comはアマゾン・キラー?

インターネットがライフスタイルを最も変えたもののひとつに「買い物習慣」の変化があります。特にアマゾン・ドットコムの存在は大きい。個人的に多くのモノを買っていますし、妻は「時間が節約できるし、なにより安い」として洋服からシャンプーまであらゆるモノをアマゾンで調達しています。郵便切手をアマゾンで買った人もいます。

日本の楽天がBuy.comを買収してアメリカ市場に参入しましたが、存在感がありません。アメリカでは多くのeコマース会社が淘汰され、アマゾンの独走が続いています。2250億ドル(約28兆円)という巨大な時価総額が、その強さと勢いを示しています。

その巨大なアマゾンに挑戦するスタート・アップ企業が出現しました。ニュージャージー州のホーボーケンに本社を置くJet.comです。ビジネス・モデルは、コストコと同じ会員制もしくはクラブ制。年49ドルの会費が必要ですが、良質なものをどこよりも低価格で販売します。アマゾンと異なり、コストから社員の給与まで幅広い情報を開示することも特徴のひとつです。

まだ売上がほとんどありませんし、今後何年も赤字が続く予想ですが、Jet.comは去年1年間だけで2億2500万ドル(約281億円)もの資金を調達しました。今年末までに資金をさらに集める計画で、現在の時価総額は30億ドル(約3750億円)で計算されています。

なぜそれほど高い時価総額がつくのか。eコマースのブームが再び訪れていること。もうひとつは、創業者のマーク・ローレ氏がかつてQuidsi.comというeコマース会社を創業、アマゾンに高値で売却したことがあります。期待感が大きいのです。

ただ、Jet.comが成功するかどうかはまだわかりません。The Wall Street Journalが最近、試験的に12品を合計275ドル55セントで購入した際、Jet.comのコストは配送費と税金を含め518ドル46セントもかかったそうです。出血大サービス。Jet.comは、年間に200億ドル(約2兆5000億円)を売り上げないと利益が出ないモデルで、採算がとれるまで長い時間がかかりそうです。

Jet.comは、21日にオペレーションを正式に開始します。創業者のマーク・ローレ氏は主要メディアに積極的に登場、最初の1週間で1000万件のアクセスがあると予想しています。ひとりの消費者として、Jet.comのアマゾンへの挑戦は大歓迎です。競争原理が働き、より便利で、より安くなる可能性があるからです。アマゾンを脅かす存在になるか。注目したいです。

 
[July 20 2015]  No 031843209

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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