2分でわかるアメリカ

2015/07/04「お金持ちの掟90」日本人が知らない富豪

オラクルの創業者で、アメリカの富豪ランキングのトップ10に入るラリー・エリソン氏は、京都の南禅寺近くに大邸宅を建設中です。ロシア系ユダヤ人の家庭で育ったエリソンは大の日本好き。カリフォルニアの自宅を訪問したことがある人から聞いたのですが、「奥さん以外は全て日本だった」そうです。それほど日本が好きなのに、京都の家は別邸であり、長期滞在する可能性は低いとみられます。

「爆買い」の印象が強い中国から来たお金持ちが、東京をはじめとする日本の一等地の不動産を買いあさっているという話をよく聞きます。しかし、日本に移住したという話は聞いたことがありません。

日本は富豪の投資対象先ではあるものの、移住先ではありません。富豪を受け入れるインフラも社会環境もありません。

これに対し、欧米の多くの国は、富豪が投資をし、移住もします。アメリカの富豪の多くは外国生まれ。グーグルの共同創業者のセルゲイ・ブリン氏はロシア生まれ、ヘッジファンドのジョージ・ソロス氏はハンガリー生まれです。移住した後に富豪になった人のほか、富豪になった後にアメリカに移住した人も少なくありません。富豪を受け入れる社会制度があり、インフラがあります。

イギリスも似ています。以前ご紹介したThe Sunday Timesが毎年発表するイギリスの富裕層1000人のランキング。2015年版のトップから9位までを、移民もしく外国出身者が占めました。ロシア系と中国人、いわゆる華僑、そしてインド系の印僑がずらりと並びました。純粋なイギリス人は10位のウエストミンスター公爵が最高位でした。世界の大富豪を積極的に誘致、いわゆる「ウィンブルドン現象」の一つでもあります。

ロシアや華僑の富豪が多いのはアメリカも同様ですが、インド系が多いのはイギリスの特徴です。大英帝国の名残。インドは旧植民地で、深いつながりがあります。

インドの携帯電話で知られるヒンドゥージャ・グループのヒンドゥージャ兄弟が富豪ランキングのトップ、インドの鉄鋼王のラクシュミ・ミッタル一族が3位です。そして、デビッド&サイモン・ルーベンが7位にランクされています。いずれも、日本円に換算して1兆円を超す個人資産を持っています。凄い!

ルーベン兄弟は日本では無名、イギリスでも「知る人ぞ知る」存在です。ただ、ロンドンの金融街シティやウォール街では良く知られた富豪。流動性資金が豊富なことが影響しています。

インドのボンベイ出身で、1950年代にイギリスに移住。金属事業で成功しました。ゴールドマンサックスは去年、金属保管事業をルーベン兄弟に売却、ニュースになりました。不動産投資でも知られ、今年はじめにバッキンガム宮殿の近くの大邸宅を改装する許可を得ただけで話題になりました。

ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏だけが富豪じゃない。日本人が知らない世界がまだまだあります。
 

[July 03 2015]  No 031843199

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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