2分でわかるアメリカ

2015/07/035.3% と10.5%、本当の失業率はどっち?

アメリカの6月の失業率は5.3%と0.2ポイント改善しました。「完全雇用に近づいている」という声も一部でありますが、本当でしょうか。少なくとも、大学や大学院を卒業後に就職できない人、パートタイムでしのいでいる人の話をよく聞きます。

アメリカ労働省は6種類の失業率を発表しています。一般ニュースになる失業率はU-3です。労働人口に占める失業者の割合を示すもので、「公式の失業率」とされています。6月の雇用統計では、求職活動を諦めた人が増えた結果として労働人口が減少、つまり割り算の分母が小さくなったことが影響しU-3が低下しました。

多くのエコノミストが注目しているもうひとつの失業率があります。U-6です。U-3で定義される失業者に、part-time workers(正社員になりたいが、パートタイムしか就業できない人)、marginally attached workers(縁辺労働者:現在は求職活動をしていないが、働く用意がある人)、そしてdiscourage workers(職探しを完全に諦めた人)を加えた失業率。最も広義な失業率です。

今回の雇用統計のU-6は10.5%でした。4月と5月は10.8%でしたので、改善しました。2008年の金融危機以降に2桁に上昇したU-6は、2010年3月と4月に17.1%まで悪化しました。それをピークとして、ゆっくりしたペースで低下しています。ただ、金融危機前は8%台だったことを考えると、まだまだ高い水準にあります。

ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のポール・クルーグマン氏は、U-3とU-6の2つを分析することが必要最低限だと発言しています。U-6は、FRBのイエレン議長が政策金利引き上げの判断材料としている雇用関連指標、いわゆる「イエレン・ダッシュボード」のひとつでもあります。

U-6の数字は、こちらで暮らして見聞きする実感に近いものがあります。改善しているものの、まだ弱いというものです。FRBが利上げ時期とペースを検討する重要な時期ですので、来月以降もU-3だけではなく、U-6も注目したいです。

 
 [July 02 2015]  No 031843198

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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