2分でわかるアメリカ

2015/07/01ギリシャ、中国に続く3つ目のリスク

ギリシャのデフォルト(債務不履行)とユーロ圏離脱懸念、中国株が急落という外部要因でマーケットが不安定になっています。そこにもう一つ、新たな懸念が浮上しました。

きっかけは、The New York Timesに掲載されたプエルトリコのガルシア・パティジャ知事のインタビュー記事でした。パディジャ知事はこの中で、プエルトリコが抱える720億ドル(約8兆8600億円)の債務について「支払うことが出来ない」と述べました。債権者である外国人投資家らに対し支払い期限の延長を求めました。支払い期限は明日7月1日。

プエルトリコは、カリブ海の北東に位置する島国です。アメリカのコモンウェルス(米国自治連邦区)という特殊な立場にあり、住民はアメリカの所得税の納税義務を持たず、大統領選挙権もありません。アメリカ連邦議会の下院本会議に採決権を持たない代表者を任期4年で送り出すことが認められています。日本人に馴染みがあるサイパンを含む北マリアナ諸島も類似した位置付けです。

観光業が主な産業ですが、競合リゾートの競合が激化し低迷。加えて、製造業の工場が撤退したことなどで景気低迷が深刻化しました。ニューヨーク連銀の報告書によりますと、プエルトリコの人口は2004年から減少傾向が続いていて、現在は360万人と過去10年で5%減りました。1917年の法律で、プエルトルコの住民にはアメリカの市民権が与えられるため、職を求めて本土に移る人が増えたとみられます。

プエルトリコの顧問に起用された元IMF筆頭副専務理事のアン・クルーガー氏は、プエルトリコは債務超過の状態にあり、近く財政資金が底をつくとする報告書を提出しました。ただ、プエルトリコは破綻したデトロイトなどと異なり地方自治体ではないため、アメリカの連邦破産法の債務再編の資格がありません。

プエルトリコがどうなるか、債務再編の資格を得られるのか。正念場を迎えています。ギリシャ情勢はアメリカへの影響が小さいと指摘されていますが、債務に苦しむギリシャの重要局面と同じタイミングでアメリカの足元に火がつきました。これを皮肉というのでしょうか。

 
 [June 30 2015]  No 031843196

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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