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2015/06/30パンドラの箱あけた?

2011年と2012年にギリシャをはじめとするユーロ圏の債務危機が深刻化した際、Grexit(ギリシャがユーロ圏から離脱すること)が何度も議論されました。支援する側のユーログループ、ECB、IMFのいわゆるトロイカ、そして支援を受けるギリシャ政府は毎回、問題を先送りました。もう少し長い目でみると、1999年にスタートした共通通貨ユーロの歴史は「妥協の歴史」だったと言えます。その歴史が新たな1ページを開こうとしていました。

金融支援の条件となるギリシャの構造改革をめぐるトロイカとギリシャ政府の話し合いは過去半年間、何度も開かれました。溝は埋まらず、ギリシャのチプラス首相は、ユーロ圏各国とECBがギリシャの意に反する行動をせざるを得ない状況に追い込んだとして非難、国民投票を7月5日に実施するという「政治的ギャンブル」に打って出ました。議会が直ぐに承認、投票が次の日曜日に実施されます。

ギリシャの役所の「仕切り」は悪評が高く、1週間で国民投票がどこまで準備できるか疑問視されています。投票のためのコストは少なくとも1億ユーロ(約138億円)かかると試算されています。政府の銀行口座の資金は枯渇しています。

仮にギリシャ国民が投票で、チプラス首相の呼びかけに応じ債権団の改革案に反対したとしても、債権団が譲歩するとも思えません。また仮に、債権団の改革案に賛成に回った場合は、チプラス政権が総辞職に追い込まれる可能性があります。そもそも、債権団の改革案は最終案ではありません。国民投票の結果がどうであっても、ギリシャ危機が一段と混迷する可能性が高いとみられます。

ユーロ圏は週末に開いた財務相会合で、ギリシャへの支援プログラムを予定通り明日30日で終了することを決めました。 チプラス首相の延長要請を拒否しました。15億ユーロ超のIMFへの債務返済期限が明日30日に訪れますが、ギリシャ政府は支払わない公算です。

ギリシャでは、 国内銀行が休業、資本規制が実施されました。アテネの株式市場も休場。国内銀行の休業は来週月曜日まで続きます。銀行のATM前には週末から長蛇の列ができていますが、現金引き出しは1日あたり60ユーロに制限されました。

歴史の1ページを開いたというより、「パンドラの箱をあけた」と将来言われる可能性があるほどの重要局面だと考えます。今週か来週にかけてのギリシャ情勢に注目したいです。

 
[June 29 2015]  No 031843195

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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