2分でわかるアメリカ

2015/06/16「法の支配」の原点

先月、オーストラリアを訪問した際に感じたことがあります。「非常にわかりやすい」と。どういうことかといいますと、公用語が英語であり、社会の仕組み、人の発想、考え方がなんとなくアメリカに似ています。

来月、カナダのバンクーバーを旅行する計画ですが、バンクーバーの地区の名前や通りの名前が、シドニーと同じものが相当あることに気がつきました。同じ地名が、ロンドンにも、アメリカ東海岸にもあります。

アメリカ、オーストラリア、そしてカナダに共通していることは、いずれもイギリスの植民地だったということです。そして、社会の基礎となっているのが、ちょうど800年前に制定されたマグナカルタ(大憲章)であり、イギリスのコモン・ローです。

1215年、フランスとの戦争の費用を捻出するため税金を大幅に引き上げるなど王の悪政に怒ったイングランドの貴族が団結しました。貴族は、当時のジョン王の権力を制限する文書をまとめました。これがマグナカルタです。その年の6月15日に制定されました。

マグナカルタは、63カ条から構成されていて、原文はラテン語、約3500文字で書かれています。人身の自由も含まれており、アメリカの独立宣言書にも多大な影響を与えました。「法の支配」、自由主義、民主主義の原型とされる歴史的文書です。マグナカルタの原本は大英図書館のほか、イギリス国内に4部保管されています。その後の改訂版の原本の一部も残っています。1297年版の原本は、2007年にアメリカ人のビリオネアーが2130万ドル(約26億4000万円)で購入、アメリカの国立公文書館へ永久に貸し出しています。

ちょうど800年を迎えたきょう、イギリスのキャメロン首相は「マグナカルタが世界を変えた」と記念イベントで語りました。ただ、大英図書館によりますと、800年前は政治的対立を抑えるために利用されたに過ぎなかったそうです。当時の貴族は、800年後まで大きな影響を与えることになるとは考えていなかったと思います。

 
[June 15 2015]  No 031843185

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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