2分でわかるアメリカ

2015/06/04FIFA会長のミステリー

FIFA会長のゼップ・ブラッター会長が2日、辞意を表明しました。ブラッター会長は4日前の29日のFIFA総会の選挙で5期目が決まったばかり。世界のスポーツ界で最も資金力があり、影響力が強い組織に何があったのか。なぜこのタイミングなのか。

総会の2日前、アメリカの司法当局の要請を受けたスイスの捜査当局が、副会長を含むFIFA幹部や関係者合わせて14人を逮捕しました。贈収賄やマネーロンダリングなど47の容疑で起訴されました。イギリスやブラジルなどの当局も捜査に着手。ブラッター会長は逮捕劇の前も後も、不正行為への関与を否定しました。投票前の演説では、事態への憂慮の念を示すと同時に、透明性のための改革を公約しました。

しかし、ブラッター会長は辞意を表明しました。しかも突然。そのヒントになりそうなのが、1日付のThe New York Timesの報道です。

Timesは、ブラッター会長の側近で、FIFAナンバー2だったジェロム・ヴァルケ事務局長が、南アフリカが2008年にFIFA幹部のジャック・ワーナー氏の個人口座へ1000万ドル(約12億4000万円)を送金したことに関与していたとされ、アメリカ司法当局はこれが汚職に関与した証拠と考えていると匿名の情報として伝えました。ブラッター会長も関与していたことを連想させる報道です。

FIFAは報道の内容を否定しています。また、アメリカ当局もスイス当局も、ブラッター会長が不正行為に関わったとの疑いがあるかどうかコメントを拒否しています。

しかし、噂は広がるばかり。ブラッター氏は1998年に会長に選ばれた際、票を買ったのではないかと噂されるなど、黒い噂が絶えませんでした。噂が出るごとに乗り切っていきましたが、今回はアメリカ司法省という強大な外圧で追い込まれたのではないかとみられます。

FIFAのルールにより、会長を選ぶ総会は4ヶ月前の告知が必要です。アメリカの複数の報道によりますと、総会は今年12月から来年3月の間に開催される見通しだということです。それまでは、ブラッター会長が「代行」することになりそうです。次期会長の有力候補として、前週の選挙に立候補したヨルダンのアリ皇太子とヨーロッパ・サッカー協会のプラティーニ氏の2人の名前があがっています。

ブラッター氏はスイス出身。軍隊、時計会社のロンジンなどを経てFIFAに入り、40年間で様々なポストを歴任しました。現在79歳。いまは最悪の心境にあるのではないかと想像します。金権体質が指摘されるFIFAの捜査ははじまったばかりです。

 
[June 03 2015]  No 031843177

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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