2分でわかるアメリカ

2015/05/14薬代1200万円、歪んだ米医療制度

アメリカには世界の頭脳が集まります。圧倒的多数のノーベル賞受賞者を輩出し続けていることからもわかります。医療の分野もそうで、世界最高の技術がアメリカにあります。その一方で、医療保険制度は世界最悪だと思います。これまで何度か指摘した通りですが、新たな現実が表面化しました。

Express Scriptsが、きょう13日に発表した調査結果は衝撃的な内容でした。

調査によりますと、50万人のアメリカ人の処方薬のコストが年5万ドル(約600万円)を越えました。また、去年1年で処方薬のコストが10万ドル(約1200万円)を越えたアメリカ人が10万人以上いました。

医療保険を保有している3150万人の2013年と2014年の記録を分析したものですが、処方薬代10万ドルの98%は保険が適用されました。本人負担は2%だったということです。10万ドルの2%は2000ドル(約24万円)になる計算。

処方薬が異常に高騰しているのは、C型肝炎とガンの新薬が導入されたことが背景です。バイオ薬会社のギリアド・サイエンシーズなどが開発したC型肝炎の新薬は一粒が1000ドル(約12万円)といわれ、治療には少なくとも8万ドル(約960万円)かかります。新薬が平均を大幅に押し上げています。

また、ベビーブーマーが退職年齢になったことも平均値が上がる要因になっています。処方薬代が10万ドルを越えた患者の56%はベビーブーマー。10以上の処方薬を服用している患者も目立ちました。

優れた新薬が導入されるのは素晴らしいことですが、その開発費が薬代を急騰させていることも事実です。Express Scriptsという会社は、患者に代わって、医療機関、保険会社、そして医薬品会社と処方薬の価格交渉をする会社です。患者の負担減につながっていますが、そもそもこうした会社が存在することはアメリカの医療環境、制度が歪んでいるからだと考えます。

 
[May 13 2015]  No 031843162

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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