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2015/04/21浮き彫りになった欧州の深刻問題

多数の難民を乗せリビアからイタリアに向かっていた難民船が19日転覆し、約700人が死亡したもようです。死者数は900人を超えるとの見方もあります。死者数が確定すれば、過去最大級の難民船の事故になるとみられています。

EU加盟各国は、以前から難民問題を抱えていました。旧植民地や地理的に近い北アフリカ、さらには戦争が悪化したボスニアなどから難民が押し寄せました。しかし、いま起こっていることは次元が違います。2010年の末に始まった「アラブの春」のきっかけに北アフリカからの難民が増加、「イスラム国(ISIS)」の攻撃を受けたシリアからの難民、ソマリアやエリトリアなど中央アフリカの紛争国の難民も顕著に増えています。最近では、リビアの混乱を受け、外国人労働者がリビアを離れようとしていることも拍車をかけています。

国連難民高等弁務官事務所によりますと、地中海を越えてイタリアなどEUに渡った移民は去年21万8000人に達しました。前年の3倍超。航行中に死亡した難民は3500人を超すとみられます。また、国際移住機関によりますと、2011年以降で約30万人がイタリアに到着しました。

19日の難民船の事故で多数の死者が出たことで、EUの難民対策の問題が浮き彫りになりました。難民受け入れの負担について、加盟国の意見が大きく分かれています。難民の捜索や救助についても、反対意見が多くあり、対策が遅れています。

ただ、問題の解決には時間がかかりそうです。難民が押し寄せるイタリアでは、反移民政党が難民政策でレンツィ政権を激しく批判しています。亡命申請が急増しているドイツでは、反移民の抗議行動が増え、最大の政治問題になっています。フランスなどでも反移民の機運が高まっています。

EUは20日、ルクセンブルクで開いた外相会議で、難民問題が議題に急きょ盛り込まれました。イタリアがトップレベルでの会議の開催を呼びかけ、今週にも首脳会議が開催される方向です。ヨーロッパでは、ギリシャへの新規融資の条件である経済改革が合意できるかどうかが注目されていますが、その問題が霞むほど、難民問題が深刻化しています。加盟国の事情が異なるEUが意見を統一するのは容易ではありません。

 
[April 20, 2015]  No 031843142

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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