2分でわかるアメリカ

2015/03/31シリコンバレーのリケジョ

先週末にサンフランシスコ地裁であった評決が全米で大きな話題となりました。主要メディアが異例といえるほど大きく報じました。

裁判は、クライナー・パーキンス・コーフィールド & ベイヤーズ(KPCB)を相手に、女性であることを理由に差別されたとして、元ジュニア・パートナーのエレン・パオさんが2012年に訴えたものです。KPCBに対し1600万ドル(約19億2000万円)の賠償金の支払いを求めました。

KPCBは、シリコンバレーのベンチャー・キャピタル(VC)。アマゾン・ドットコムやグーグルなどを早い段階で支援してきたシリコンバレーを代表する老舗VCです。訴えたエレン・パオさんは、中国系アメリカ人で、プリンストン大学の理工学部卒のいわゆる「リケジョ(理系女子)」。ハーバードのロースクールとMBAも卒業した超高学歴リケジョです。

革新的な技術やサービスを生み出すシリコンバレーには「開かれた文化」があるとされていますが、12人の陪審員がどう判断するかが注目されていました。陪審員の評決は8対4。エレン・パオさんの訴えを認めるには9人の賛成が必要だったため、パオさんの敗訴が決定しました。

裁判の証言では、KPCBのパートナーが、ポルノスターを招いたロサンゼルスのプレイボーイ・マンションでのパーティにプライベート・ジェットを使って行ったこと、バレンタインデーに男性のパートナーが、パオさんに猥褻な詩集を送ったことなど、セクシャル・ハラスメントの問題も浮上しました。アジア系というマイノリティの問題もありました。しかし、パオさんの性格に問題があったから昇格が遅れたとするKPCB側の言い分が支持されました。

パオさんは敗訴しましたが、裁判はシリコンバレーのリケジョの地位の低さに社会的な注目を集める結果になりました。例えば、グーグルの社員のおよそ半分は女性ですが、ほとんどはマーケティングや人事部門。ソフトエンジニアをはじめテクノロジー関連の職についているリケジョは17%しかいません。The Wall Street Journalによりますと、高額の報酬が支払われるテクノロジー関連の女性の数は、過去25年減少が続いています。VC業界では、1999年に10%を占めた女性が去年までに6%に減りました。

パオさんは、訴訟をきっかけにVC業界が女性やマイノリティを含む全ての人に公平な機会を与えてくれるよう望む、とするコメントをツィートしました。意外に閉鎖的なシリコンバレーで今後、リケジョの登用が増えることになるかもしれません。

 
[March 30, 2015]  No 031843127

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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