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2015/03/19「通貨安戦争」を主導する北欧

スウェーデンの中央銀行であるリクスバンクが18日、緊急会合を開き、政策金利をマイナス0.1%からマイナス0.25%に引き下げることを決めました。同時に、国債買い入れプログラム(QE)を拡大します。

スウェーデン中銀は先月、100億クローナ(約1400億円)の国債を買い入れることを発表しましたが、今回の追加で300億クローナ(約4200億円)を買い入れることになります。スウェーデン中銀は「インフレ率が底を打ち、上昇しはじめたが、クローナ(スウェーデンの通貨)高が続いた場合、インフレ上昇のペースが十分に早くならない可能性がある」と説明した上で、「必要であれば追加措置を実施する用意がある」として、さらなる利下げや一段のQE拡大を示唆しました。

スウェーデン中銀の決定は、政策金利をマイナス0.75%に引き下げたデンマーク中銀の決定から18日後のサプライズとなりました。北欧では、ノルウェーの中銀も来月の会合で利下げすると予想されています。ノルウェーでは、住宅バブルの兆しがありますが、それでも利下げしそうだというのが多くのアナリストの見方です。

スウェーデン、デンマーク、そしてノルウェーの北欧3カ国に共通しているのは、小国であり、輸出型経済であり、ユーロ圏に隣接していることです。それぞれの国の通貨には、ECBが今年1月にQEの実施を決めて以降、上昇圧力が強まっていました。大胆な金融緩和策は、通貨安を誘導し輸出を助けるのが狙いで、「通貨安戦争を主導している」との指摘もあります。

18日の欧米マーケットでは、中銀の決定を受け、スウェーデン・クローナの対ユーロ相場が急落、対ドルでは6年ぶりの安値をつけました。一方、ストックホルムの株式相場は急上昇しました。

スウェーデン中銀は2011年に政策金利を2%に引き上げました。金融危機後に世界で初めて利上げしました。しかし、その後直ぐインフレ率が低下、過去2年間の表面利回りはマイナスになりました。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカのエコノミスト、ポール・クルーグマン氏らが、スウェーデン中銀の対応を批判していました。

Financial Timesは、今回のスウェーデンの追加利下げの効果は未知で、銀行や社会がどう受け止めるかにかかっていると伝えました。現金の「タンス預金」が増えるとの懸念も一部であるとしています。確かに、銀行にお金を預けると、増えるどころか、減り続けるので、そういう心理が働く可能性があります。

北欧の歴史的実験をマーケットが注目しています。

 
[March 18, 2015]  No 01056581

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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