2分でわかるアメリカ

2015/03/05私的メールと公的メール

ヒラリー・クリントン前国務長官が、来月にも2016年大統領選挙へ出馬することを正式に表明する見通しです。共和党は、元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏を中心に候補者選びが進んでいますが、民主党は本命のクリントン氏の出馬表明を待っている状態になっています。2大政党の有力候補がそろえば、大統領選挙戦が本格化することになります。

出馬正式表明を控え、クリントン氏に一種のスキャンダルが起きました。The New York Timesが、クリントン氏が国務長官在任中の公務に私的な電子メールのアカウントを使っていたと報じたからです。アメリカの主要メディアが相次いで「後追い取材」しました。きのうはイスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ議会で、オバマ政権が主導するイラン核協議に反対する異例の演説をするという大きなニュースがありましたが、CNNは、クリントン氏の「私的メール問題」ばかりを取り上げていました。

国務長官は外務大臣にあたります。通信記録は保存する必要があります。さらに、国務省は、長官を含めた職員の在任中も退任後も記録にアクセスできなければなりません。2009年に導入された指針では、連邦政府機関が非公式アカウントで公務を遂行する場合、すべての記録を保存しなければならないと記されています。国務省の要請を受けて、クリントン氏が去年末、5万5000ページの私的メール・アカウントのコピーを提出していたことが明らかになりました。法律や指針に完全に違反していないものの、外交のトップとしては疑問が残る対応です。

問題は、なぜクリントン氏がGメールのような私的メール・アカウントを公務に使用したかです。クリントン氏は、国務長官に就任する前、ブラックベリーでメールを読んでいる姿が何度も確認されています。メールアドレスを変更し、過去に築いた人脈とのパイプが切れるのを恐れたのかもしれません。弁護士の資格を持つクリントン氏が違法行為と知りながら行動するとも思えないので、何が特別な理由があるのではないかとも考えられます。

共和党の有力候補であるジェブ・ブッシュ氏は、夫人の浪費癖が伝えられました。ブッシュ氏もクリントン氏も、大統領選の候補である限り、過去の行動や発言を含め公私を全て丸裸にされることになります。

 
[March 04, 2015]  No 01056571

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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