2分でわかるアメリカ

2015/03/03ロシアは「世界の脅威」か

アメリカの諜報機関が「世界の脅威に関する評価報告」の最新版を先週公表しました。脅威度のランク付けはしていませんが、サイバー攻撃、ロシア、イスラム国(ISIS)、イラン、そしてナイジェリアを「五大脅威」として取り上げています。このうち、ロシアについては、プーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派勢力を支援、国民の支持を集めるためナショナリストに徹しているとしています。

そのロシアが大きく揺れています。

先週の金曜日27日深夜、野党指導者ボリス・ネムツォフ氏がクレムリン近くの橋をウクライナの女性モデルと並んで歩いているところを背後から撃たれました。4発が貫通、即死しました。

きのう1日、暗殺されたネムツォフ氏の追悼デモがモスクワの事件現場近くで行われました。5万人が参加する大規模な集会。「ウクライナ戦争に反対」などのスローガンを連呼しました。ロシア第2の都市サンクト・ペテルブルグなどロシアの10都市やウクライナのキエフにもデモが拡大しました。

モスクワに駐在していた20年前、ボリス・ネムツォフ氏を取材したことがあります。当時、ネムツォフ氏はニジニ・ノヴゴロドの知事を経て、エリツィン大統領(当時)によってエネルギー相を兼任する第一副首相に任命されました。若手のホープで、将来の大統領候補とみられていました。「新しいロシア」を感じたことを覚えています。ただ、1997年の夏にモスクワを離れて以降、妻がフェイスブックで繋がっていると聞いた以外は、忘れかけていました。

今回の事件をきっかけに、ネムツォフ氏に関する過去の記事を週末にまとめ読みしました。しかし、記事は予想外に少なく拍子抜けしました。ネムツォフ氏が野党に転じて以降、外国だけではなく、ロシア国内でも動向がほとんど報じられなかったようです。別の言い方では、プーチン政権の影響力が強いロシアのメディアから排除され、政治活動が伝えられませんでした。

ロシアのメディアによりますと、治安当局は、ネムツォフ氏の暗殺事件に関して、国内を不安定化させる陰謀説、ユダヤ人であり、フランスの週刊新聞への攻撃を批判したことからイスラム過激派による犯行など、あらゆる可能性を捜査しています。まだ「反プーチン」の動きには発展していませんが、何かをきっかけに大きく変わる可能性を秘めています。

一方、ロシアと対立するウクライナの経済が急速に悪化しています。ハイパー・インフレと物不足が深刻化しています。ウクライナ国内のポロシェンコ大統領への不満も高まりつつあります。ロシア・ウクライナ情勢がアメリカへの大きな脅威になるかどうかは不明ですが、マーケットのかく乱要因になる可能性があります。

 
[March 02, 2015]  No 01056569

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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