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2015/02/27ユーロ圏の銀行が「日本型の罠」に?

ECBが来週から月600億ユーロ相当の国債を中心とした資産買い入れプログラムを開始します。いわゆる量的緩和(QE)。来年の9月末まで継続することが決まっていて、買い入れ合計は1兆ユーロ規模になる計算です。ECBのドラギ総裁は25日、欧州議会に出席、インフレ率が目標を下回る場合、QEを来年9月以降も継続する可能性を示唆しました。

ECB理事会がQEを決定してから1ヶ月が経ちましたが、開始直前になって懸念する見方が増えました。

格付け会社フィッチがファンドマネジャーを対象にした最新の調査では、ECBのQEプログラムが、ユーロ圏のインフレ押し上げ効果ももたらすと考える投資家はわずか27%でした。さらに調査では、回答者の65%がユーロ圏にデフレリスクが定着しつつあるとし、去年10月の調査の53%から大幅に増えました。Reutersが伝えたものです。

ECBのQEは、FRBや日銀のQEと比べ複雑です。買い入れのほとんどは、ユーロ圏各国の中央銀行が実施します。人口及びGDPにより買い入れ配分が決まります。ドイツの中銀であるブンデスバンクの配分が最大で、買い入れ額は毎月120億ユーロ程度になります。

The Wall Street Journalは、ドイツ財務省が今年、計1470億ユーロ相当の2年-30年債を発行するが、1320億ユーロのドイツ国債が償還を迎えるため、ネットで増えるのは1年で150億ユーロ相当の国債しかないと指摘しました。その上で、銀行は当局の規制を遵守するためドイツ債の売却に難色を示していて、供給不足になると報じました。銀行だけではなく、年金基金や保険会社などの機関投資家も最高格付けのドイツ債を売らない可能性があるとしています。買う必要に迫られているのに、売り手がいないという状況に陥る可能性があるということです。対照的に、FRBがQEを実施した際には、流動性が高く、売り手を探すのに困らなかったと伝えました。

また、The Wall Street JournalはHeard on the Streetの欄で、ヨーロッパの銀行が「日本型の罠」にはまる懸念があると報じました。長期的に国債利回りが低水準を維持するとしても、ヨーロッパの銀行は日本の銀行のように国債を買い増すかもしれないとしています。ECBは、銀行が国債を売却して得た資金を貸し出しに回し、景気を刺激することを期待しているが、そうならない可能性があると伝えました。

シティバンクは、大規模なQEでECBのバランスシートが拡大、ユーロに対する減価圧力が次第に強まるとした上で、年末にむけてユーロドルがパリティ(1EUR=1USD)を割り込む水準までユーロ安ドル高が進むと顧客向けメモで予想しました。

ギリシャ問題が一段落したヨーロッパですが、来週以降、ECB のQEに絡む思惑やニュースがさらに増えそうです。

 
 [February 26, 2015]  No 01056567

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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