2分でわかるアメリカ

2015/02/20上がり始めたアメリカの賃金

アメリカの小売最大手ウォルマートは19日、全従業員の3分の1にあたる約50万人の時給を引き上げると発表しました。今年4月から連邦政府が定める最低賃金を24%上回る9ドル(約1080円)にします。さらに来年4月には少なくとも10ドル(約1200円)に引き上げます。

アメリカの連邦議会は2009年に最低賃金を7ドル25セント(約870円)にして以降、賃金に関する採決を行っていません。一方で、州レベルでは最低賃金の引き上げが広がっています。カリフォルニア州やマサーチューセッツ州で最低時給9ドルが義務付けられるなど、29の州と首都ワシントンDCで最低賃金が連邦の法定賃金を上回っています。全米に店舗展開するウォルマートの4月からの平均時給は13ドル(約1560円)に上がります。

ウォルマートの賃上げは一企業の決定にすぎませんが、全米で大きな注目を集めました。

1962年にアーカンソー州にサム・ウォルトン氏が創業したウォルマートは、世界最大の小売企業に成長しました。時価総額は日本円に換算して33兆円に達します。アメリカを代表する企業の一つであり、その動きは、小売業界だけではなく、全米の企業全体に影響を与えることがあります。

ウォルマートは「いつでも、どこよりも安い」ことで知られますが、同時に低賃金が批判されることが少なくありません。「低賃金企業」の代名詞になっています。次の大統領選挙を来年に控え、民主党と共和党が最低賃金の引き上げを求める圧力を強めることが予想されます。2四半期連続で増益と、業績が好調なことも影響して、賃上げに踏み切ったとみられます。

The Wall Street Journalによりますと、会員制小売大手のコストコやアパレル大手のGAPが既に最低賃金を引き上げたほか、医療保険大手のエトナが先月、最低賃金を時給16ドル(約1920円)に引き上げると発表しました。ウォルマートはこれらに続いたものですが、注目企業だけに、賃上げが全米の企業に広がることが予想されます。

FRBが18日に公表した前回のFOMC議事録は、賃金の伸びが鈍いとし、消費を抑制していると指摘しました。ウォルマートが賃金を引き上げる4月以降、賃上げの動きが広がれば、FRBの利上げの障害の一つがなくなることになります。

 
[February 19, 2015]  No 01056562

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ