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2010/08/13一通の手紙で1兆円が消えた


HP(ヒューレット・パッカード)のマーク・ハード会長兼CEOが、セクハラ疑惑に絡んだ不適切な経理処理で6日辞任しましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、連日、続報を詳しく伝えています。

なぜならマーク・ハード氏が、アメリカで最も優れた経営者の一人だったからです。
 

ことの発端は一通の手紙です。元女優でHPの契約社員だったジョディ・フィッシャーさんの弁護士が、HPの取締役会宛に送りました。「マーク・ハード氏からセクシャル・ハラスメントを受けた」と訴える内容でした。

取締役会は社外の専門家を雇い、詳しく調査しましたが、「セクハラ違反はなかった」と結論づけました。しかし、取締役会は、日本円で200万円程度の経費を不適切に請求していたとして、マーク氏を事実上解任しました。

HPほどの大企業の最高経営責任者が、経費の精算を自分で処理することは考えられませんから、おそらく秘書やスタッフのミスであった可能性が高そうです。それでは、なぜ解任されたのか。おそらく取締役会は、ジョディ・フィッシャーさんの弁護士の手紙が公表されるのを恐れた為ではないか、とみられています。それにしても、解任の理由が弱い気がします。他に理由があるのかもしれません。

ロサンゼルスには、ハリウッド・スターやモデルを夢見て、全米、全世界から「美しい人」が集まります。一躍有名になったジョディ・フィッシャーさんもその1人です。学生時代にプレイボーイ誌にピンナップが掲載された後、ロサンゼルスに引っ越し、セクシースリラー映画などに端約として出演していますが、スターにはなれませんでした。ジョディーさんは、「ハード氏の辞任に驚いている」とのコメントを出していますが、本当にそうでしょうか。

マーク・ハード氏は、HPを高収益体質の会社に変えました。マーク・ハード氏退任でHPの株価は急落,時価総額が日本円で1兆円以上も少なくなりました。オラクルのラリー・エリソンCEOは、「HPがマーク・ハード氏を失ったのは、アップルがスティーブ・ジョブズを失ったのに等しい」とコメントしています。

HPの取締役会が何を守りたかったのかは謎ですが、一通の手紙に対する取締役会の対応で、失った代償はあまりに大きいといえます。


[August 12, 2010] No 010226

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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