2分でわかるアメリカ

2015/02/05「通貨戦争に勝者なし

このところ「Currency War(通貨戦争)」という言葉をよく目にします。2、3年前にブラジルの財務相の発言をきっかけに流行した言葉ですが、今年に入り復活しました。

アベノミクスの一環として日銀が去年、積極的な量的緩和を実施。そして先月、ECBが大規模な量的緩和を3月から開始することを決めました。これに前後してデンマークの中央銀行がユーロとのペッグを維持するため3度に渡り利下げ。また、ノルウェー、ロシア、スイス、カナダ、オーストラリアが利下げに踏み切りました。さらに、エジプトとインドも通貨安に誘導、ナイジェリアとベトナムも利下げする方向です。4日には、中国人民銀行が預金準備率を約2年半ぶりに引き下げました。人民銀行は去年11月に予想外の利下げを決めていて、今回は追加的な緩和措置です。

一方、トルコの中央銀行が先月政策金利を引き下げました。ただ、追加利下げが予想された4日の緊急会合の開催を見送りました。政治圧力を強める結果になり、次回会合で追加的措置を決める可能性があります。

先進国も新興国も、世界中の中央銀行が相次いで金融緩和に動いたことで、外国為替相場の変動幅が拡大しました。利下げや量的緩和が実施された国や地域の通貨は一部を除いて売られ、資本が流出しました。通貨安は輸出型企業の競争力を強める一方、輸入物価が高くなります。

バンク・オブ・メリルリンチのストラテジスト、デビッド・ウー氏はCNBCに出演、各国の中銀が相次いで緩和に動いたことを「ドミノ現象」と表現、「通貨戦争の勝者はなく、すべてが敗者になる」とコメントしました。

アメリカのFRBは量的緩和を終了、早ければ今年6月に利上げに踏み切るとみられています。しかし、世界の多くの中央銀行が通貨安政策に相次いで動き、ドル高の悪影響がではじめたことなどで、FRBの利上げタイミングが後ずれするとの見方が出始めています。

シティバンクは、通貨戦争がドル円相場に与える影響について、アメリカが利上げに踏み切る時期がはっきりするまでは、方向感が出にくいとみていると顧客向けメモでコメントしました。

 
 [February 04, 2015]  No 01056551

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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