2分でわかるアメリカ

2015/02/04ベッド脇に銃、銀行家はスパイだった

1990年台半ばにモスクワに駐在していた際、元KGBのスパイの話を頻繁に聞きました。スペイン人夫婦になりすましてマドリッドに長期滞在していた話など、テレビも盛んに元スパイらのインタビューを放送していました。興味深く見入っていたことを記憶しています。

冷戦時代、アメリカ政府はCIAを中心に旧ソビエトで諜報活動を幅広く展開していました。ソビエト崩壊後は活動の規模を縮小、一方でテロリストへの諜報活動を積極化しました。諜報活動、つまりスパイ行為には、CIAの職員だけではなく、一般のビジネスマンも深く関与していたことが明らかになりました。

The Wall Street Journalは、メリーランド州の銀行幹部が元スパイだったと詳しく伝えました。バンク・オブ・バルチモアの元会長兼CEOのエドウィン・ヘール氏で、1990年代はじめから10年に渡りCIAに深く協力していたと告白しました。

ヘール氏は、CIAと緊密に連絡をとりながら架空の運輸会社を設立していました。ダミー会社の出張で世界中に飛び、テロ組織アルカイダを率いたウサマ・ビン・ラディン氏の所在やお金の流れをスパイしていました。

過去に3度もの飛行機事故から生還したヘール氏は現在68歳。屋内サッカーのプロチームのオーナーをしているヘール氏は、秘密を守ることに耐えられなくなったようです。恐怖から自宅には防犯カメラを設置、いまでもベッドの脇にショットガンを置いているそうです。

ヘール氏が国際的なスパイだったことは身内も知りませんでした。娘がショックを受けたほか、友人や元部下が強い衝撃を受けています。ヘール氏は告白したことで、少し楽になったのかもしれません。

ヘール氏の最近の趣味はフラワー・アレンジメント。2000年に公開された映画「ミート・ザ・ペアレンツ」で元CIAを演じたロバート・デ・ニーロに少し似ているとThe Wall Street Journalの記事は結んでいます。

冷戦が終わった今も、スパイが身近にいる可能性があります。いろいろ考えさせられます。

[February 03, 2015]  No 01056550

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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