2分でわかるアメリカ

2015/01/13原油安の表と裏

先週、近所のガソリンスタンドで自家用車のタンクを満タンにした料金は約40ドルでした。去年は70ドル前後しましたので、4割以上安くなったと実感します。ロサンゼルスのガソリン価格は日本円に換算するとリッターあたり約79円。東海岸のニューヨークやニュージージャージは税率の関係でさらに安くリッターあたり約63円です。数年前の水準ですが、去年の前半までがあまりにも高かったので、得をした気分になります。

12日のニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油相場が再び急落しました。ロンドンの北海ブレントは節目の50ドルを割りました。供給増とユーロ圏や中国の景気減速による需要減見通しで、原油相場の下落基調が続くとの見方が優勢です。アメリカのガソリン価格は原油相場に敏感に反映されるので、負担がさらに軽くなりそうです。個人的には、月間100ドル(約1万2000円)以上節約できるので助かります。原油相場が個人消費を刺激すると指摘されていますが、納得がいきます。

その反面、石油関連企業は大変なことになっています。エクソンやBPなどの大手は設備投資を大幅にカット、レイオフが拡大しています。中小の石油関連企業は、存続が危ぶまれています。

アメリカでは、ここ数年で石油関連のベンチャー企業が相次いで設立されました。マンハッタン・インスティチュートが去年2月にまとめた報告書によりますと、2万を越す中小企業が、アメリカ全体の石油とガスの75%超を産出しています。ほとんどの企業は、テキサス、ノースダコタ、カリフォルニア、アラスカ、オクラホマ、ニューメキシコに集中しています。

テキサスを拠点とするWBHエナジー・パートナーズが先週、日本の会社更生法に相当するチャプター11の適用を裁判所に申請しました。3年前に設立されたばかりのシェール関連の会社で、追加融資が拒否され破たんに追い込まれました。負債は3000万ドル(約36億円)ありました。

石油業界では、中小のシェール関連会社の経営が一段と悪化すると予想されています。破たんが相次ぐことも予想されます。「革命」と呼ばれるほどブームに沸いたシェールですが、原油相場急落というブラックスワンで取り巻く環境が一変しました。


[January 12, 2015]  No 01056533

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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