2分でわかるアメリカ

2014/12/19ハリウッドと国家の安全保障

ソニーピクチャーズへのサイバー攻撃事件の第3弾です。

ソニーピクチャーズが来週のクリスマス12月25日に映画「The Interview」の公開を予定していましたが、中止されることが決まりました。

情報や契約書など幅広い情報をインターネット上にリークした同一犯と名乗る匿名の者が、「The Interview」を公開した場合、9.11のような流血の事態になると脅迫していました。リーガル、AMC、シネマーク、そしてカーマイクの4大映画館チェーンが17日に電話会議を開き、公開を見送ることを決定。ほぼ同時に、ソニーピクチャーズが公開を中止することを正式に発表しました。2012年7月20日にコロラド州オーロラの映画館で死傷者70人がでた乱射事件があっただけに、対応が注目されていました。

「The Interview」は、2人のアメリカ人のテレビ・ジャーナリストがCIAにリクルートされ、北朝鮮の金正恩第一書記の暗殺を計画するというコメディ映画です。インターネットの映画データベースであるIMDBによりますと、制作費は4400万ドル(約52億8000万円)。ハリウッドのメジャースタジオの映画としては低予算の部類に入ります。リークされた予算書では、主演のセス・ローガンのギャラが840万ドル(約10億800万円)、共演したジェームス・フランコのギャラは650万ドル(約7億8000万円)でした。動物の虎も出演しているらしく、2頭で7万4000ドル(約888万円)の予算が計上されていました。

制作費が低いとはいえ、ソニーピクチャーズは既に多額の広告宣伝費を使っています。映画が後日、ビデオ・オン・デマンドで公開される可能性があります。ただ、ハッカーに狙われる恐れがあるため、引き受ける配信会社があるかどうかは疑問です。DVDの可能性もありますが、韓国経由で北朝鮮に流れ、インターネットがない北朝鮮の国民がDVDを視聴することを北朝鮮政府が危惧しているとされていて、可能性は低そうです。今日は、金正恩第一書記が乗ったヘリコプターにミサイル弾が命中、第一書記の頭が吹き飛ぶ映画のシーンがリーク、YouTubeなど幅広いネットメディアにアップロードされました。

映画制作と劇場公開には、大勢の人が関わっていて、落胆ぶりが目に浮かびます。同時に、ソニーピクチャーズ、そしてソニーグループにとって大きい経済的打撃になることは確実です。

アメリカの主要メディアは、アメリカの捜査当局が17日までに、ソニーピクチャーズをサイバー攻撃したハッカーは北朝鮮であると特定したと伝えました。企業のセキュリティの問題が国家の安全保障の問題に発展しました。

 
[December 18, 2014]  No 01056517

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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